歌舞伎音楽
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歌舞伎には、多彩な音楽が用いられる。これは「歌舞伎」が本来、最初から劇として作られた演目、人形浄瑠璃を原作とした演目、さらには舞踊といったさまざまの種類の舞台を総合したものであり、各分野に適応した音楽が存在するためである。大きく分けて(1)歌物である長唄と、(2)語り物である浄瑠璃がある。演奏家たちを地方(じかた)という。 長唄 歌舞伎の伴奏音楽として発達した音楽。舞踊劇や舞踊で演奏される(例:『勧進帳』『連獅子』など)。また囃子方とともに下座音楽(後述)を担当する。 義太夫節 人形浄瑠璃は、義太夫節(浄瑠璃の一種)の演奏に合わせて劇が進行する構成であり、歌舞伎でも人形浄瑠璃から移入した演目(『義経千本桜』『仮名手本忠臣蔵』など)は同様に義太夫節が演奏される。人形浄瑠璃では登場人物の台詞と状況説明をすべて義太夫節の太夫(語り手)が行うが、歌舞伎での台詞は基本的に役者が担当し、太夫は状況の説明のみを語ることになる。このため、歌舞伎における義太夫節を「竹本(チョボ)」といって区別することがある。義太夫狂言での義太夫節はおもに舞台上手上部にある専用の場所で演奏される。この場所を「床(ゆか)」または「チョボ床」と呼ぶ。 常磐津節・清元節 ともに浄瑠璃のひとつ。大坂で発展した義太夫節に対し、これらは江戸で発展したもので「江戸浄瑠璃」と呼ばれる。重厚な義太夫節に比べて軽妙洒脱な芸風が特徴で、清元節はさらに繊細な持ち味を備える。舞踊劇や舞踊で演奏される。それぞれ、常磐津節・清元節を参照(常磐津節『関の扉』『戻駕』、清元節『落人』『保名』など)。 その他 上記のほか、大薩摩節、河東節、新内節などが使われる演目がある。江戸浄瑠璃のひとつである富本節(常磐津節と清元節の系譜の中間に位置する)は江戸時代に盛んに用いられたが、近代以降は衰退し、現在では歌舞伎の伴奏として演奏されることはない。 下座音楽 詳細は「下座音楽」を参照 「黒御簾音楽」ともいい、劇中音楽を担当し、「黒御簾(くろみす)」と呼ばれる舞台下手脇の専用の場所で伴奏音楽や効果音を演奏する。効果音では、太鼓を使った水辺を表す音や鉦による寺院の鐘の音など、楽器を使ってさまざまな効果を表す。 長唄は舞台の正面または上手に雛段を設け、そこに出囃子とともに並んで演奏する。義太夫節の床以外での演奏は出語りという。常磐津や清元は山台という台に上がって演奏するが、山台はふつう常磐津だと舞台下手に、清元は舞台上手に置かれる(ただし清元の山台も本来は舞台下手に置くものだったという)。各流派の演奏はひとつの演目の中で単独で行うとは限らず、異なる音曲が順番に演奏を担当する(掛け合い)ものや、合奏するものがある。たとえば『京鹿子娘道成寺』では初めに義太夫が語り、次に長唄が演奏する。また舞踊劇『紅葉狩 』では常磐津節、長唄、義太夫節が掛け合いで演奏し、これを三方掛合(さんぼうかけあい)という。長唄や浄瑠璃各流派は、歌舞伎公演のほか日本舞踊の伴奏や単独での演奏会も行われている。
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「歌舞伎音楽」の例文・使い方・用例・文例
- 渡り拍子という歌舞伎音楽
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