有向点族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/29 04:10 UTC 版)
有向点族(ゆうこうてんぞく、directed family of points)とは、点列を一般化した概念で、ムーア (Eliakim Hastings Moore) とスミス (H. L. Smith) により1922年に定義された[1]。有向点族はネット (net)、有向点列、 Moore-Smith 列などとも呼ばれる。
- ^ Moore & Smith 1922.
- ^ Kelley 1975, p. 65
- ^ Steen & Seebach 1995, p. 68, Example 43.7, 43.8.
- ^ Steen & Seebach 1995, p. 125, Example 105.1, 105.5.
- ^ a b この定理とその証明は参考文献に挙げたPete Clarkの資料を参考にした。
有向点族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 05:30 UTC 版)
詳細は「有向点族」を参照 すでに述べたように位相空間では点列の概念を一般化した有向点族の概念を定義した上でその収束を定義する。本節では有向点族の定義を与える。その為にまず有向集合の概念を定義する 定義 (有向集合) ― 空でない集合ΛとΛ上の二項関係「≤ 」の組 (Λ, ≤)が有向集合(ゆうこうしゅうごう、英: directed set)であるとは、「≤ 」が以下の性質を全て満たす事を言う: (反射律)∀λ∈Λ : λ ≤λ (推移律)∀λ,μ,ν∈Λ : λ ≤ μ, μ ≤ν ⇒ λ ≤ ν Λの任意の二元が上界を持つ。すなわち∀λ,μ∈Λ∃ν∈Λ : λ ≤ ν, μ ≤ν なお、有向集合の二項関係「≤ 」は、反射律と推移律を満たすのものの反対称律は満たす必要がないので、前順序ではあるものの順序の定義は満たしていない。 定義 (有向点族) ― 集合X上の有向点族とは、X上の族(xλ)λ∈Λで添字集合Λが有向集合であるものを指す。有向点族はネット (英: net)、 Moore-Smith 列(英: Moore-Smith sequence)、generalized sequenceなどとも呼ばれる。 具体的にはXに値を取る点列 ( x n ) n ∈ N {\displaystyle (x_{n})_{n\in \mathbb {N} }} や、実数を定義域に持つX値関数fから定義される族 ( f ( x ) ) x ∈ R {\displaystyle (f(x))_{x\in \mathbb {R} }} が N {\displaystyle \mathbb {N} } や R {\displaystyle \mathbb {R} } 上に自然な順序を入れた場合に有向点族になるので、これらの収束概念は有向点族の収束概念により定式化できる。 しかしより重要なのは、以下に述べる開近傍系を添字集合に取る有向点族である 命題 (開近傍系を添字集合に取る有向点族) ― aを位相空間Xの点とし、 V a {\displaystyle {\mathcal {V}}_{a}} をaの開近傍系とする。このとき V a {\displaystyle {\mathcal {V}}_{a}} 上の二項関係 U ≤ V : ⟺ V ⊃ U for U , V ∈ V a {\displaystyle U\leq V~:\!\iff V\supset U~~~~{\text{for }}U,V\in {\mathcal {V}}_{a}} を入れると、 ( V a , ≤ ) {\displaystyle ({\mathcal {V}}_{a},\leq )} は有向集合である。よって V a {\displaystyle {\mathcal {V}}_{a}} を添え字に取るX上の任意の族 ( x U ) U ∈ V a {\displaystyle (x_{U})_{U\in {\mathcal {V}}_{a}}} はこの二項関係に関して有向点族である。 上の例で特に x U ∈ U {\displaystyle x_{U}\in U} を満たす有向点族 ( x U ) U ∈ V a {\displaystyle (x_{U})_{U\in {\mathcal {V}}_{a}}} を考えれば、Uが小さくなればなるほど x U ∈ U {\displaystyle x_{U}\in U} がaに「近づく」ので、この有向点族が収束概念を考える際に重要な役割を果たす事が了解されるであろう。 また開近傍系は開集合の集まりなので、この有向点族 ( x U ) U ∈ V a {\displaystyle (x_{U})_{U\in {\mathcal {V}}_{a}}} は、これまで開集合の概念を通して定義してきた位相空間の概念と有向点族の収束性の概念との、いわば架け橋として機能し、開集合の概念から収束を定式化したり、逆に収束の概念から開集合を逆に定式化したりする際に役に立つ。 なお上では開近傍系を添字集合とする有向点族について記したが、(開とは限らない)近傍系を添字集合とする有向点族も同様に定義できる。
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有向点族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 08:36 UTC 版)
詳細は「有向集合」および「有向点族」を参照 本節ではボルツァーノ・ワイエルシュトラス性の定式化に必要な概念である有向点族の概念を導入する。有向点族とは有向集合を添え字とする族である: 定義 (有向集合・有向点族) ― 空でない集合ΛとΛ上の二項関係「≤ 」の組 (Λ, ≤)が有向集合(ゆうこうしゅうごう、英: directed set)であるとは、「≤ 」が以下の性質を全て満たす事を言う: (反射律)∀λ∈Λ : λ ≤λ (推移律)∀λ,μ,ν∈Λ : λ ≤ μ, μ ≤ν ⇒ λ ≤ ν Λの任意の二元が上界を持つ。すなわち∀λ,μ∈Λ∃ν∈Λ : λ ≤ ν, μ ≤ν 集合X上の有向点族とは、X上の族(xλ)λ∈Λで添字集合Λが有向集合であるものを指す。有向点族はネット (英: net)、 Moore-Smith 列(英: Moore-Smith sequence)、generalized sequenceなどとも呼ばれる。 なお、有向集合の二項関係「≤ 」は、反射律と推移律を満たすのものの反対称律は満たす必要がないので、前順序ではあるものの順序の定義は満たしていない。 点列と同様、有向点族に対して収束概念や部分有向点族の概念を定義する事ができる。詳細は有向点族の項目を参照されたい。 有向点族の概念は、点列概念と違い、添字が可算である事も全順序である事も要求しない。この事が有向点族に点列にはない優位性をもたらしており、例えば有向点族の収束の概念を用いれば、閉集合など位相空間の諸概念を特徴づける事ができる事が知られているが、点列の場合はそうではない。なぜなら点列概念は添字が可算である事が原因となり、点列で閉集合を特徴づけるには位相空間の方にも何らかの可算性を要求する必要が生じてしまうからである。詳細は列型空間を参照。
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