時間に依存するシュレーディンガー方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 08:15 UTC 版)
「シュレーディンガー方程式」の記事における「時間に依存するシュレーディンガー方程式」の解説
シュレーディンガー描像では、量子系の時間的変化はその量子系の状態ベクトルや波動関数がその情報を持っていると考える。量子系の状態ベクトルおよび波動関数の時間的変化は、時間に依存するシュレーディンガー方程式によって記述される。状態ベクトル |ψ(t)⟩に関するシュレーディンガー方程式は一般に以下のように表される。 i ℏ d d t | ψ ( t ) ⟩ = H ^ | ψ ( t ) ⟩ . {\displaystyle i\hbar {\frac {d}{dt}}|\psi (t)\rangle ={\hat {H}}|\psi (t)\rangle \,.} ここで i は虚数単位、d/dt は時間に関する微分、 ℏ = h / 2 π {\displaystyle \hbar =h/2\pi } はディラック定数である。状態ベクトルの時間微分はヒルベルト空間の元を値に持つ実変数関数の(強)微分として導入される。状態ベクトルの微分とは、以下に示すように、すべての時刻 t において状態ベクトル |ψ(t)⟩ の差分商との差のノルムが 0 に収束するような導関数 d/dt|ψ(t)⟩ のことである。 lim h → 0 ‖ | ψ ( t + h ) ⟩ − | ψ ( t ) ⟩ h − d d t | ψ ( t ) ⟩ ‖ = 0 f o r a l l t ∈ R . {\displaystyle \lim _{h\to 0}\left\|{\frac {|\psi (t+h)\rangle -|\psi (t)\rangle }{h}}-{\frac {d}{dt}}|\psi (t)\rangle \right\|=0\qquad \mathrm {for~all~~} t\in \mathbb {R} .} ^H は系全体の力学的エネルギーを表す演算子で、ハミルトニアンと呼ばれる。ハミルトニアンの具体的な中身は考える系に応じて異なり、対応する古典系のハミルトニアンを正準量子化して求めることが多い。 ハミルトニアンは自己共役な演算子であることが要請されるが、ハミルトニアンを自己共役とは限らない一般の線型演算子 ^L に置き換えた方程式 i ℏ d d t | ψ ( t ) ⟩ = L ^ | ψ ( t ) ⟩ {\displaystyle i\hbar {\frac {d}{dt}}|\psi (t)\rangle ={\hat {L}}|\psi (t)\rangle } もまたシュレーディンガー方程式と呼ばれる。 シュレーディンガー方程式は非相対論的な方程式であり、相対論的領域に対してそのまま適用することはできない。しかし、ディラック方程式を変形することで相対論的なハミルトニアンを得ることができ、形式的にシュレーディンガー方程式と同様の形に表すことができる。
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