映画フィルム「紅葉狩」とは? わかりやすく解説

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映画フィルム「紅葉狩」

主名称: 映画フィルム「紅葉狩」
指定番号 154
枝番 0
指定年月日 2009.07.10(平成21.07.10)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 歴史資料
ト書
員数 1巻
時代区分 明治
年代 撮影明治32年 フィルム1927年昭和2)
検索年代
解説文: 日本の映画史は、明治29年(1896)11月から翌年3月までの間に、キネトスコープシネマトグラフヴァイタスコープ機器相次いで輸入され映画公開されたことに始まる。当初は、映画作品外国製であったが、明治30年から国内での製作が試みられた。明治32年6月国内製作映画初め公開されたが、作品としては残されていない
 映画紅葉狩」は同年11月柴田常吉によって撮影されたものである歌舞伎紅葉狩」は同月1日から25日まで更科姫九代目市川団十郎平維茂五代目尾上菊五郎演じて歌舞伎座上演された。歌舞伎座興行部長井上竹次郎は、これを映画撮影することを発案し歌舞伎座裏の野天に幕を張り舞台組んで撮影された。完成した映画は、翌33年11月7日団十郎の家で初め披露された後、同36年7月大阪道頓堀中座翌年2月東京歌舞伎座公開された。
 歌舞伎の「紅葉狩」は、同名能の演目題材として、明治20年10月東京新富座で初演された。戸隠山紅葉見物に出かけた平維茂が、更科姫出会って酒宴招かれ眠り込む夢のなか風の神現れ更科姫が鬼であることを告げる。更科姫鬼女化し目覚めた維茂は鬼女退治する、というあらすじである。
 映画紅葉狩」は、柴田常吉属していた吉沢商店から横田商会渡り、これらの会社合併してできた日本活動写真株式会社日活)に保管されたが、原版関東大震災焼失したとされる
 本フィルム映像は、作品として形をとどめている現存最古のものであるタイトル続いて団十郎更科姫踊り尾上丑之助風の神踊り五郎の維茂と鬼と化した団十郎立回り三場からなる
 この映画フィルムは、35ミリ可燃性デュープ・ネガフィルムで、オリジナル・ネガから数度段階経たのである。「KODAK ■▲」のエッジマークと、フィルム中にある「大阪府検閲済」の刻印によって、1927年昭和2)アメリカイーストマン・コダック社製であることが確認できる。したがって、現在年代判明する紅葉狩」のなかでは最古フィルム位置づけられる。冒頭タイトル部分は、文中に「日活所蔵する国宝映画一つである」とあることから、日活創立され大正元年(1912)以降付されたものである
 映画紅葉狩」は日本人の手により撮影され最初期作品であり、日本映画幕開け象徴するものとして著名である。本フィルムは、現存する紅葉狩」のなかで最も長尺当初内容をよく伝え保存状態良好であり、映画史上、近代文化史上に貴重である。また、現在では稀少となった可燃性フィルム記録されていて、映画製作技術史のうえからも価値が高い。



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