既存不適格の建物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
「千日デパート火災」の記事における「既存不適格の建物」の解説
千日デパートビルは、1932年(昭和7年)に建設された建物に度重なる改修を加えて使用しており、火災当時(1972年)の建築基準に適合しない部分がみられた。特に1969年から70年にかけて建築基準法の改正が行われたことによって、建築法令に適合しない部分を多く抱えたまま営業を続けており、いわゆる既存不適格の建物であった。法令不適合の部分に関しては「前法不遡及の原則」に従って改修や設置義務から免れていた。本件ビルが抱えていた建築法令に関する既存不適格の部分とは、例えば、店舗の内装に関する新基準、排煙設備の設置、非常用照明装置の設置、非常進入口の設置、防火戸の熱感知自動閉鎖装置設置、防火区画(面積および竪穴区画)の新基準、階段の幅や構造に関する新基準、特別避難階段の設置などである。また消防法令においても1961年(昭和36年)以前に建てられた建築物かつ防火対象物ということで、こちらも建築法令と同様「前法不遡及の原則」に従って、現行法令の基準を満たす消防用設備などの設置義務の対象からは外され、遡及適用を免れていた。その代表的な例としてはスプリンクラー設備、自動火災報知設備、非常警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、中央集中管理室の設置などが挙げられる。
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