既存不適格に対する緩和
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 15:03 UTC 版)
「既存不適格」の記事における「既存不適格に対する緩和」の解説
上記のように、既存不適格の建築物は増改築などの際に、建物全体を現行法(着工時の法律)に適合させる必要がある。 しかしながら、建物の状況によってはこれは簡単なことではない。例えば旧耐震基準で設計された建築物の構造強度を補強によって現行基準にすべて適合させることは、理論上は可能であるにしても現実には不可能である場合が多い(すべて壊して建て替えたほうが費用も工期も節約できる、など)。そのほか、防火区画など後付けで改善することが難しいものも少なくない。このため、法律上は全く増築できない建築物が出てくることとなる。こうした問題から、2005年より既存不適格の建築物について、一定の条件下では緩和が行われることとなった(特定行政庁により判断にばらつきがあったため国土交通省が統一基準を出した)。エクスパンションジョイントにより1棟となる50m2未満の増築は補強の必要なし。既設建物床面積の半分以下の場合は耐震診断の上、耐震補強を行う。既設建物床面積の半分以上の場合は現行基準に則り構造計算を行い改修する。 さらに、耐震構造に関する緩和規定は2009年にも改正され、既存部分の半分以下の増改築などの一定の条件下では、要求される構造強度自体が緩和されるだけでなく、法的手続きについても大幅に軽減されている。ただし、既存部分をそのままにしてよいと言うわけではなく、不適格部分と何らかの区画を行う必要があったり、構造強度の場合は既存部分の耐震診断や耐震補強を行って十分な強度を確保することが求められたりと、結果としてかなりの費用が必要となる場合もある。
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