文学としての歌謡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 09:23 UTC 版)
「歌謡」は広義には、曲または節(リズム)を伴う詩歌を総称する語または声楽曲の総称であり、必ずしも文字や言語にとらわれるものではないが、声楽曲の歌詞や詞章を文芸とみなしてこれを歌謡文学として把握した場合には、言葉を仲立ちとするものであり、口承性とともに音楽性をも有し、未だ文学とは意識されない、文学以前の領域にまで踏み込むものである。 このような文学ジャンルとしての歌謡は、音楽性をともなう韻文形式の作品のことをいい、韻律文芸の総称である。歌詞をその音楽と分けずに言及する言葉であり、「朗読する詩歌」に対して「歌う詩歌」を指す言葉である。なお民間の歌謡は多くの場合、文字として記録されない口承文学として存在した。 中国において歌謡という言葉は、史記、漢書、阮籍の音楽論などで使われている。しかし、このような文学概念のひとつとしての歌謡という言葉の使い方は、明治以降の日本文学や国文学研究者によるもので、読まれる詩歌に対して、歌われる詩歌を歌謡と呼んだ。今日では、歌詞と音楽は分けられるが、時代によっては、両者が未分化であり、文学研究においては意味を拡大して使うこともある。歌物(うたいもの)、語り物、また古代の記紀歌謡や万葉集のようなかつて歌唱された歌も含める。
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