音楽論
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「パウル・ヒンデミット」の記事における「音楽論」の解説
それまでの伝統的な、狭義の調性の枠を大きく超えるような音楽を書いたヒンデミットであるが、シェーンベルクらの無調音楽に対しては自然倍音の正当性を守る立場から否定的であった。教育も一風変わっておりヴィルヘルム・マーラー式和音記号を採用せず、数字付き低音の正当性を主張したドイツ人作曲家としても知られている。『三声部楽曲の練習書 Übungsbuch für den dreistimmigen Satz』(未邦訳)では彼独自の記号が並ぶ。 彼は、複数の音が同時に鳴ると、その周波数の和の音と差の音がかすかに発生する(例:400Hzと500Hzの音が同時に鳴ると、900Hzと100Hzの音が発生する)、という現象に着目し、その結果、どんな複雑な不協和音や半音階的旋律にも、複数の音の間には調的な支配関係が存在し、完全な無調は存在し得ない、と主張した。そして、あくまでも一つの中心音の調的な支配力のもとで、斬新な和音や半音階を駆使する作法を確立していった。このような作法は「拡大された調性」とも呼ばれた。 12のフーガからなるピアノ曲『ルードゥス・トナリス』に使われている音列は、基音Cから徐々に不協和となる、という構造を持ち(C-G-F-A-E-Es-As-D-B-Des-H-Fis)、そうした理論が典型的に示されている。
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