感染症及びヒトの生命への被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 00:54 UTC 版)
「外来種」の記事における「感染症及びヒトの生命への被害」の解説
従来その地域では見られなかった病原菌や寄生虫が外来種とともに移入された場合、人間や在来種に被害を与える場合がある。 1905年ごろのニホンオオカミの絶滅の原因の1つとして、輸入犬からの伝染病である狂犬病や犬ジステンパーによる個体数の減少が指摘されている。(タヌキやキタキツネにも同様の伝染病の被害が出ている) タンザニアのセレンゲティ国立公園では、公園周辺に暮らす3万頭ものノイヌが持ち込んだ犬ジステンパーによってライオンの25%が死亡した。 ノネコが原因と思われる猫後天性免疫不全症候群(ネコエイズ)が、ツシマヤマネコに感染した事例も見つかっており、イリオモテヤマネコへの脅威も懸念されていたが、2010年代にはノネコを捕獲したのちに里親を探し譲渡するという活動に取り組み、全頭譲渡成功という成果を達成している。 世界各地に定着しているアルゼンチンアリ(南アメリカ原産)は、屋内に侵入したり、就寝中の人間を咬むなどして、不快害虫となっている。さらに、アルカロイド系の毒をもつアカヒアリ(南アメリカ原産)によって咬まれることで北アメリカでは大勢の人間が死亡する事態になっている。 ブタクサやオオブタクサなどのキク科植物、そしてカモガヤやオオアワガエリなどのイネ科植物は花粉症を引き起こし、人間の健康に悪影響を及ぼす。とくにこれらの外来植物は雑草として市街地などの人間に身近な場所に生育している。 1937年に北海道の礼文島で害獣駆除のために輸入されたキツネの中に人間が感染すると重篤な肝炎を引き起こすことがあるエキノコックスという寄生虫に感染したものがいた。礼文島ではキツネは完全に駆逐されたものの、エキノコックスは海を渡って北海道本土のキタキツネに感染して広がり、人間への感染も確認されている。さらに2005年には埼玉県でエキノコックスの卵が確認されたことからホンドキツネへの感染拡大が懸念されている。
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