得点調整
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 00:30 UTC 版)
「大学入試センター試験」の記事における「得点調整」の解説
センター試験の本試験において、同一グループの科目間で20点以上の平均点差が生じ、これが問題の難易差に基づくものと認められる場合には、「得点調整」と呼ばれる統計的処理が行われる。適用対象グループは、「地理歴史の『世界史B』『日本史B』『地理B』(3科目)」「公民の『現代社会』『倫理』『政治・経済』(3科目)」「理科(2)の『物理』『化学』『生物』『地学』(4科目)」の3つのみである。ただし、受験者数が1万人未満の科目は得点調整の対象としない。 センター試験終了約1週間後に行われる平均点中間発表の際に予告された上で実施される。対象となる受験者と対象とならない受験者間での公平性の観点から、平均点差のすべてを調整するのではなく、調整後も平均点差が15点となるように調整される。この15点の差は、通常起こりうる平均点の変動範囲である。 得点調整は各グループごとに「分位点差縮小法」という方式を使って行われる。この方式によって、得点調整対象の科目のうち、最も平均点の高い科目と低い科目の得点の累積分布を比較し、受検者数の累積割合が等しい点(等分位点)の差を一定の比率で縮小する。平均点が最大/最小以外の科目についても、平均点差を同一の比率で縮小するように調整される。 得点調整が行われたのは、センター試験の導入以降、1998年度試験と2015年度試験の二度のみである。1998年度には上記のルールに従い、地理歴史において、日本史Bの得点を地理Bに近づける形で調整が行われた。2015年度には、理科(2)の科目において、生物の平均点が物理Iの平均点より20点以上低かったため、物理、化学、生物、化学I、生物Iで得点調整が実施された。なお、この年の地学の平均点は生物よりもさらに低かったが、受験者が1万人未満であったため、得点調整の対象とはならなかった。地学Iも受験者が1万人未満であったため、得点調整の対象とはならなかった。 一方で、同一科目の平均点に差がある場合に「得点調整」を行うことについては反対意見もある。福井一成は著書で、例えば理科の場合、一般的に理科に強い理系の学生が多い物理・化学の平均点が、文系の学生が多い生物・地学の平均点に比べて高くなるのは自然なことであるとして、得点調整の必要性に疑問を示している。
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