弾薬について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/16 14:28 UTC 版)
PzBシリーズの使用弾薬である7.92x94 Patr.318弾(英語版)の弾頭には催涙剤のカプセルが内蔵されていた。 これは、徹甲弾頭として目標となる装甲車両の装甲を貫通した後、車内に催涙剤を拡散させて乗員を戦闘困難な状態に陥らせることで大きな効果を得る、としたものであったが、実際に戦闘で使用してもそのような効果が発揮されている兆候がなく、効果が疑問視されるに至った。実射試験の結果、装甲板に命中した際に弾頭の後部から催涙剤カプセルが脱落してしまい、弾頭が貫通してもカプセルの内容物が目標内に飛散しない例が多発すること、また、7.92mmという弾頭に内蔵できるサイズのカプセルでは、設計通りに目標内に飛散したとしても、多数発を命中させなければ乗員に対して大きな効果を及ぼせない量の催涙剤しか封入できないことが判明した。ドイツの対戦車銃によって攻撃された連合軍の側でも弾頭の催涙効果に関する報告はなく、PzB38/39とPatrone 318弾を捕獲して実射した調査でも、射撃した標的を調査している際に目や呼吸器に異常を感じたとの報告がなされていたものの、当初は発煙剤もしくは曳光剤による副次的な刺激と分析されていた。 なお、催涙剤を正規軍が他国の正規軍に対して戦場で使用することは、化学兵器の実戦使用を禁じた1925年のジュネーブ議定書に抵触するため、Patrone 318弾の弾頭に催涙剤が封入されていることは機密事項とされていた。弾薬の制式名称である"Patrone 318 SmK-Rs-L'spur" および"Patrone 318 SmKH-Rs-L'spur"の"Rs"とは公式には"Rauche Weiß(Weiss)"、「白色発煙」を示すもので、発煙剤を内蔵していることを示す、とされていたが、実際は"Reizstoff"(ドイツ語で「催涙剤」の意)を示すものであった。
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