対象とする型のHPVの感染防止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 15:11 UTC 版)
「ヒトパピローマウイルスワクチン」の記事における「対象とする型のHPVの感染防止」の解説
咽頭癌(HPV陽性口腔咽頭癌(英語版))の70%、2009年の分析で子宮頸癌の70%、肛門癌の80%、膣癌の60%、外陰癌の40%の原因となっていた16型・18型の、感染を予防するとされる。ガーダシルについては、尖圭コンジローマの90%の原因である2種類の低リスク型HPV(HPV6およびHPV11)も予防する。 海外の疫学調査ではHPVワクチンの導入によって、ワクチンの対象とする型のHPV感染者が減少している。アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は2013年に、14歳-19歳の女性のあらゆるHPV感染が56%減少したことを報告した。他の年齢層、アメリカの20-24歳の女性では、ワクチン対象型の感染率は低下したが、そのことで全体的な感染率に影響はなかったという2016年の分析。 他の部位、口腔のHPV感染では、他の型では差はないが、16型・18型の感染が93%減少した。 子宮頸部の異形成病変抑制HPVワクチンによって、子宮頚癌の発生前段階となる高度異形成病変についての抑制効果は、国際的な前向き研究(コホートスタディ)で既に確認されている。子宮頚癌は異形成病変から発生するので、HPVワクチンの有効性が期待できる根拠になっている。 子宮頸癌の抑制フィンランドでのワクチン接種者と非接種者を、2007年6-2015年12月の7年間経過を追う診療研究で、HPVに関連した子宮頚癌の発生を比較したところ、非接種群では8人(発症率 6.4/100,000 人年)の発生を認めたが接種群は0人であった。他に外陰癌 1 人(0.8/100,000人年)、口腔咽頭癌 1 人(0.8/100,000 人年)の計 10 人(8.0/100,000 人年)にHPVに関連した癌が認められたのに対して、接種群はいずれも癌も0人だった。なお、HPVに関係しない癌の発生頻度には差が無かった。 その他の癌抑制HPV感染の予防により、HPVが原因となる様々な癌が抑制され、少なくとも腟癌・外陰部癌・肛門癌については、無作為比較試験によって75-100%の高い抑制効果が証明されている。FDAは2008年に、膣癌および外陰部癌の予防について、ガーダシルを追加承認した。 生殖器疾患の抑制4価ワクチンは HPV 6・11・16・18型の4抗原が原因となる生殖器疾患(子宮頸部、腟又は外陰の上皮内腫瘍又はこれらに関連した癌、上皮内腺癌及び尖圭コンジローマ)の予防に関する日本の試験成績は、419例中100%の予防効果が確認されている(プラセボは422例中5件発症)。 HPVに既に感染した既往がある人でも、その後の新たなHPVウイルスの感染を防ぐメリットや、別の部位の感染を予防する効果がある。 子宮頸部、口腔、肛門の3か所だけで比較しても、HPVに既に暴露された女性の91%にHPVワクチン接種によって、3つの場所のうち1か所で感染の予防効果が認められ、58%の女性が3か所ともに感染の予防効果が確認されている。また、既にHPVに感染した既往がある女性の抗体価と比較すると、HPVワクチン接種者の抗体価は5-24倍であった。 人種差・地域差の影響はない 世界5大陸から26,000名が参加した臨床試験と、部分集団解析によってによって、人種や地域が異なっていても、HPVワクチンの有効性、免疫原性、安全性は影響を受けない。
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