密度分布
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:13 UTC 版)
地球の平均密度は、キャベンディッシュの実験により得られる万有引力定数から地球質量を算出し、体積を用いてその平均密度ρ = 5.5 × 103 kg m-3 が求められている。しかし、地球内部の密度は均一ではなく、慣性モーメントおよび、地球表面を造る岩石の密度ρ = 2.6-3.0 × 103 kg m-3 から深部はより高密度な物質であることが窺われる。 地球内部のマントルなどは固体からなるが、地球サイズでみれば全体を液体と見做すことが可能で静水圧平衡が成立していると仮定される。 ∂ P ∂ ρ = K ρ = ϕ ( r ) {\displaystyle {\frac {\partial P}{\partial \rho }}={\frac {K}{\rho }}=\phi (r)} d ρ d r = 1 ϕ d P d r {\displaystyle {\frac {{\mbox{d}}\rho }{{\mbox{d}}r}}={\frac {1}{\phi }}{\frac {{\mbox{d}}P}{{\mbox{d}}r}}} 一方、弾性論的には以下の関係式が成立する。 K ρ = V p 2 − 4 3 V s 2 = ϕ ( r ) {\displaystyle {\frac {K}{\rho }}=V_{\mbox{p}}^{2}-{\frac {4}{3}}V_{\mbox{s}}^{2}=\phi (r)} これらの式から一定組成の部分におけるある深度の密度変化が求まる。この式はAdams-Williamsonの式と呼ばれる。G は万有引力定数、M は半径 r 内の質量である。 d ρ d r = − G M ρ r 2 ( V p 2 − 4 3 V s 2 ) {\displaystyle {\frac {{\mbox{d}}\rho }{{\mbox{d}}r}}={\frac {-GM\rho }{r^{2}\left(V_{\mbox{p}}^{2}-{\frac {4}{3}}V_{\mbox{s}}^{2}\right)}}} M ( r ) = M ( R 0 ) + 4 π ∫ R 0 r ρ r 2 d r {\displaystyle M(r)=M(R_{0})+4\pi \int _{R_{0}}^{r}\rho r^{2}{\mbox{d}}r} マントル、外核の境界など不連続面における密度の差は直接これらの式から求めることは出来ないが、適当な境界条件を与えて連立微分方程式を解き、地球の質量や慣性モーメントが束縛条件となり最も適切と考えられる値 Vp(r), Vs(r), ρ(r), P(r), g(r) が定められる。 マントル上部、モホロビチッチ不連続面における密度はρ = 3.4 × 103 kg m-3、グーテンベルク不連続面ではマントル底部の密度はρ = 5.6 × 103 kg m-3、外核上部の密度はρ = 9.9 × 103 kg m-3 と推定されている。また地球中心部の密度はρ = 13.1 × 103 kg m-3であり、外核も 9.9-12.2 × 103 kg m-3 と高密度となっているが、これを常圧における密度に換算すると 7.0 × 103 kg m-3 となり、鉄-ニッケル合金から予想される密度よりやや小さくなる。これは軽元素の混入を示唆している。 またマントルは均質というわけではなく、深度220km、400km、670kmにそれぞれ不連続面が存在すると仮定され、これらの不連続面は橄欖岩質物質の高圧における相転移が原因とされる。しかし実際にはマントル物質は純粋なケイ酸マグネシウムから成るわけでなくPREMのモデルのようにシャープな不連続面ではなく、遷移帯と呼ばれる。 地球内部の高圧下では物質が高度に圧縮され、以下のような状態方程式が成立する。ここで P は圧力、 K0 は常圧における等温体積弾性率、ρは圧力Pにおける密度、ρ0 は常圧における非圧縮状態の密度である。この式は有限歪弾性論から導出される。 P = 3/2 K0 [(ρ/ρ0)7/3 - (ρ/ρ0)5/3]
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