宇宙の大きさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/26 02:34 UTC 版)
地球から「可視」宇宙(宇宙光の地平面)の端までの共動距離は、あらゆる方向に約14ギガパーセク(465億光年)である。これによって、観測可能な宇宙の共動半径の下限が明確になる。もっとも、導入部で述べたように、可視宇宙は観測可能な宇宙よりやや小さいと考えられる。これは、再結合(宇宙の晴れ上がり)以後に放射された宇宙背景放射からの光しか見えないためである。この宇宙背景放射によって、われわれには天体の「最終散乱面」が見えているということになる(重力波によって、あくまで理論上は、この球体の外部領域から、再結合期以前の事象が観察できる)。つまり、可視宇宙は直径約28ギガパーセク(約930億光年)の球体だということになる。宇宙空間はだいたいユークリッド平面であるから、この大きさはおよそ 4 3 × π × R 3 = 4 × 10 32 ly 3 {\displaystyle {\frac {4}{3}}\times \pi \times \mathrm {R} ^{3}=4\times 10^{32}{\text{ ly}}^{3}} すなわち3×1080立方メートルの共動体積に相当する。 上に引用した数字は、(宇宙時間でいう)「今」の距離であり、「光が放射された時点における」距離ではない。例えば、今この瞬間にみえる宇宙マイクロ波背景放射 (CMBR) は、137億年前に起こったビッグバンから379,000年後の再結合の時に放射されたものである。この放射エネルギーは、その中間の時期に密集し、現在では銀河になっている物質から放出されたものである。これらの銀河は現在、われわれからおよそ460億光年の距離にあるとされている。光が放出された時点におけるその物質までの距離を推定するためには、「膨張の数学モデル」を選び、また、スケール因子a(t) をビッグバンからの任意の時刻t について計算しなければならない。観察に適したΛ-CDMモデルでは、WMAP衛星からのデータを用い、このような計算によって、およそ1292というスケール因子の変化が得られる。これが意味するのは、宇宙が、CMBR光子が放出されたときの大きさの1292倍に膨張しているということである。よって、現在観測できる最も遠くの物質(460億光年先)は、現在受け取っているマイクロ波が放出されたときには、いずれ地球となる物質からわずか3600「万」光年しか離れていなかったのである。つまり宇宙の膨張により137億光年より遠方の宇宙も「観測可能な宇宙」に含まれたことになり、重力波が最初に発生したインフレーション時期(雑誌ニュートン2012年7月号掲載)にはインフレーションによる急激な膨張により、重力波を発生した物理体が現在では非常に遠方に存在していることになる。
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