失われた戯曲とは? わかりやすく解説

失われた戯曲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/24 06:06 UTC 版)

シェイクスピア外典」の記事における「失われた戯曲」の解説

恋の骨折り甲斐 (Love's Labour's Won) 16世紀後半作家フランシス・ミアズ(Francis Meres)による1598年著書知恵宝庫』("Palladis Tamia, Wits Treasury")はシェイクスピア同時代劇壇に関する重要な資料であるが、この本の中にシェイクスピア近作列記した箇所がある。「喜劇作品としては『ヴェローナの二紳士』『間違いの喜劇』『恋の骨折り損』『恋の骨折り甲斐』『夏の夜の夢』『ヴェニスの商人』などがある」との記述があるが、『恋の骨折り甲斐』という題名作品現存していない。散逸した可能性大きいが、現存している喜劇別題であった可能性もある。当時すでに書かれていたと推測されている喜劇のうち、ここに名をあげられていないものがその候補となるが、『空騒ぎ』は登場人物たちが恋で骨を折った甲斐あってハッピーエンドとなるため最有力である。他には、『終わりよければ全てよし』か『じゃじゃ馬ならし』、もしくはトロイラスとクレシダであった可能性指摘されている。 カルデーニオ (Cardenio) シェイクスピア後期作品で、ジョン・フレッチャーとの合作である。1613年の上記録や、1653年書籍出版業組合記録にこの作品の名見えるが、作品自体散逸した。この戯曲セルバンテスの『ドン・キホーテ』に登場する脇役カルデーニオ中心とした挿話脚色したものであった考えられている。1727年、ルイス・シオボールドは『二重の欺瞞』(Double Falshood)と題した自作戯曲発表し、これは自分ひそかに所有していた『カルデーニオ』の草稿断片手を加えて完成させたものだと触れ込んだが、信憑性はないに等しい。一方筆跡鑑定専門家チャールズ・ハミルトンは、『第二の乙女の悲劇』の名で現存している戯曲こそ失われたカルデーニオ』の草稿ではないかとの説を唱えている。この説を受けて2001年2004年に『第二の乙女の悲劇』が上演された際には(それ自体稀なことであるが)、『カルデーニオ』の題がこの戯曲掲げられた。 原ハムレット (Ur-Hamlet) 『ハムレット』1600年前後執筆されたらしいことを示す証拠少なからず残っているが、それより10年上前、つまりシェイクスピア執筆活動をはじめるよりも前から『ハムレット』題した悲劇上演されていたという記録残っている。ハムレットというデンマーク王子の物語自体スカンディナヴィア古くからある伝説なので、これを題材とした別の作家(おそらくトマス・キッド)による先行作品存在しシェイクスピアはこれを参考しながら自分作品執筆したのだろうと考えられている(いわば盗作だが、シェイクスピア作品に完全なオリジナル・ストーリーはなく、いずれも古典をはじめとした何らかの種本依拠している)。この先行作品は研究者のあいだで『原ハムレット』と呼ばれているが、やはり現存しない。 この『原ハムレット』を、シェイクスピア自身による初期作品だと考えている学者若干ながら存在する。ピーター・アレクサンダー(Peter Alexander)が提唱した説で、ハロルド・ブルーム(Harold Bloom)やピーター・アクロイド(Peter Ackroyd)がこれを支持している。ブルーム仮説は、この『ハムレット』初期形シェイクスピア処女作であり、このデンマーク王子という主題シェイクスピア何度も立ち返り1601年に一応完成させた後になってさえ改稿加えつづけていたのではないかというものである

※この「失われた戯曲」の解説は、「シェイクスピア外典」の解説の一部です。
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