可換環
可換環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/15 08:14 UTC 版)
「主イデアルに関する昇鎖条件」の記事における「可換環」の解説
ネーター整域において 0 でない非単元は既約元に分解するということはよく知られている。このことの証明は (ACC) ではなく (ACCP) のみに頼っているので、(ACCP) の成り立つ任意の整域において、既約元分解が存在する。(言い換えると、(ACCP) の成り立つ任意の整域は原子整域(英語版)である。しかし逆は、(Grams 1974) において証明されているように、間違いである。)そのような分解は一意でないかもしれない。分解の一意性を証明する通常の方法はユークリッドの補題を使うが、これは因子が単に既約であるだけでなく素元であることを要求する。実際、次の特徴づけがある: A を整域とする。このとき以下は同値である。 A は UFD である。 A は (ACCP) を満たし、A のすべての既約元は素元である。 A は (ACCP) を満たすGCD整域である。 いわゆる永田判定法 (Nagata criterion) が (ACCP) を満たす整域 A に対して成り立つ: S を素元で生成される A の乗法的閉部分集合とする。局所化 S−1A が UFD であれば、A も UFD である。(Nagata 1975, Lemma 2.1) (これの逆は自明であることを注意しよう。) 整域 A が (ACCP) を満たすことと多項式環 A[t] が (ACCP) を満たすことは同値である。A が整域でないとき類似の主張は誤りである。 すべての有限生成イデアルが主であるような整域(すなわちベズー整域)が (ACCP) を満たすこととそれが主イデアル整域であることは同値である。 定数項が整数であるすべての有理係数多項式からなる環 Z+XQ[X] は (ACCP) を満たさない整域(実は GCD 整域)の例である、というのも主イデアルの鎖 は無限に続くからである。
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可換環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/05/24 04:35 UTC 版)
可換環の冪零根基は環のすべての冪零元からなる集合である。あるいは同じことだが、零イデアルの根基である。これはイデアルである、なぜなら任意の2つの冪零元の和は(二項定理により)冪零であり、任意の元と冪零元の積は(可換性により)冪零だからである。それはまた環のすべての素イデアルの共通部分として特徴づけることもできる。(実は、すべての極小素イデアル(英語版)の共通部分である。) 環は0でない冪零元をもたないとき被約と呼ばれる。したがって、環が被約であるのはその冪零根基が0であるとき、かつそのときに限る。 R が任意の可換環であれば、その冪零根基による商は被約環であり、 と表記される。 すべての極大イデアルは素イデアルなので、ジャコブソン根基 — これは極大イデアルの共通部分である — は冪零根基を含まなければならない。環は R/P の冪零根基が R/P のジャコブソン根基と R のすべての素イデアル P について一致すれば、ジャコブソン環と呼ばれる。アルティン環はジャコブソン環であり、その冪零根基は環の極大冪零イデアルである。一般に、ベキ零根基が有限生成(例えば環がネーター的)ならば、それは冪零イデアルである。
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可換環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/11 04:11 UTC 版)
可換環 R {\displaystyle R} のベキ零元全体はイデアル N {\displaystyle {\mathfrak {N}}} をなす。これは二項定理の結果である。このイデアルは環の冪零根基である。可換環のすべての冪零元 x {\displaystyle x} はその環のすべての素イデアル p {\displaystyle {\mathfrak {p}}} に含まれる、なぜならば x n = 0 ∈ p {\displaystyle x^{n}=0\in {\mathfrak {p}}} だからだ。したがって N {\displaystyle {\mathfrak {N}}} はすべての素イデアルの共通部分に含まれる。 x {\displaystyle x} が冪零でなければ、 x {\displaystyle x} の冪によって局所化することができる。つまり、 S = { 1 , x , x 2 , . . . } {\displaystyle S=\{1,x,x^{2},...\}} によって局所化して零でない環 S − 1 R {\displaystyle S^{-1}R} を得る。この局所化環の素イデアルはちょうど p ∩ S = ∅ {\displaystyle {\mathfrak {p}}\cap S=\emptyset } であるような素イデアル p {\displaystyle {\mathfrak {p}}} と対応する。すべての零でない可換環は極大イデアルをもちそれは素イデアルでもあるので、どの冪零でない x {\displaystyle x} もある素イデアルに含まれない。したがって N {\displaystyle {\mathfrak {N}}} はちょうどすべての素イデアルの共通部分である。 ジャコブソン根基と単純加群の零化 (annihilation) の特徴づけに似た特徴づけが冪零根基に対してもできる。環 R の冪零元はちょうど環 R に internal なすべての整域(すなわち素イデアル I に対して R/I の形のもの)を零化する元である。このことは冪零根基はすべての素イデアルの共通部分であるという事実から従う。
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