はんどうたい‐ろこうそうち〔ハンダウタイロクワウサウチ〕【半導体露光装置】
ステッパー
(半導体露光装置 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 02:37 UTC 版)
ステッパー(英語: stepper)とは、半導体素子製造装置の一つで、縮小投影型露光装置のことである。シリコンなどのウェハーに回路を焼き付けるため、ウェハー上にレジストを塗布し、レチクルのパターンを投影レンズにより1/4から1/5に縮小して、ウェハー上を移動(ステップ)しながら投影露光する。1つの露光エリアを露光する際にレチクルとウェハと固定して露光する装置と、レチクルとウェハーを同時に動かして露光する装置とがある。前者を「アライナー」、後者を「スキャナー」と呼ぶことが多い。後者のタイプは特性の良いレンズ中心部分を使用して露光することができるので微細化に向いているが、レチクルとウェハーを精密に同期させて露光する必要があるため構造が複雑となり、装置の価格も高価である。また、近年の微細化に対応するために投影レンズとウェハーの間の空間を液体で満たす液浸という方式も実用化されている。なお、2019年現在、液浸には超純水が用いられている。液浸方式に於いては水のレジストへの影響を避けるためにトップコートと呼ばれる保護膜を塗布することが一般的である。トップコートの撥水性能が低いとステッパーの生産性を制約してしまうことから、薬液メーカによる撥水性能の開発競争が加速している。
- 1 ステッパーとは
- 2 ステッパーの概要
- 3 構造
- 4 シェア
半導体露光装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 16:06 UTC 版)
半導体露光装置市場では、1970年(昭和45年)に日本初のマスクアライナーを発表。同製品で世界トップの地位になったがステッパーへの移行が遅くなり、平成以降にはニコンとオランダのASMLとの技術競争で押され、市場シェアが低迷した。 巻返しのために次世代露光技術の一つであるナノインプリントに注目し、その開発に取り組んでいる。2014年(平成26年)には関連技術を持つ米国モレキュラー・インプリント社(テキサス州、現・キヤノンナノテクノロジーズ)を買収した。製品の量産化は2021年以降になる。
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半導体露光装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 14:18 UTC 版)
半導体の製造に用いる露光装置であるステッパー(縮小投影型露光装置)を1980年(昭和55年)に日本で初めて製品化し、以後日本および世界市場で事業を行っている。 2019年(令和元年)現在のニコンの半導体露光装置を出荷額ベースのシェアを、光源波長ごとに見た場合、ArF液浸では5.7%、ArFドライでは61.7%、Krfでは2.6%、紫外線を用いたi線では12.8%の市場シェアを持っている。キヤノンがKrFとI線で世界シェア1位、ニコンはArFドライで世界シェア1位、ASMLがEUVとArF液浸で世界シェア1位と、微細化の世代によってメーカーですみ分けている。一方、同年の出荷額ベースのシェアを全体でみた場合、ASMLが81.2%(1位)、キヤノンが11.0%(2位)に対し、ニコンは5.9%(3位)となっている。 半導体露光装置事業は、かつては映像事業と並ぶ経営の柱で、1983年(昭和58年)以後売上高・出荷台数で世界トップとなって、1989年(平成元年)の頃には既に世界シェアが8割超、同事業がニコンの売上高に占める比率は約4割になっていた。1999年には世界初のArFドライスキャナーの開発に成功。しかし、2002年にオランダのASML社にシェアが抜かれて2位となった。2003年(平成15年)度は出荷台数で世界シェア44%(ガートナー調べ)と、首位1位を取り戻したが、2004年に再びASMLに抜かれて以降、シェアが下がり続けている。ニコンは、自社向けの露光装置の開発の為にニコンに莫大な開発費を投資し続けたインテル社の他は、東芝など日系半導体メーカーに露光装置を納入しており、そのため日系メーカーの撤退に伴ってシェアが下がり続け、次第にインテル一本足となり経営も悪化した。一方、ASML社は韓サムスン・台TSMCなど日米半導体協定によって成長したアジアの新興半導体メーカーに半導体露光装置を納入しており、そのため韓国・台湾メーカーの成長に伴ってシェアが上がり続けた。 2010年代に入ると半導体露光装置事業の慢性的な赤字が深刻化したため、2016年(平成28年)11月に構造改革の実施を発表し、ArF液浸露光装置の新モデル開発を縮小するなど半導体装置の開発費を削減し、加えてリストラで乗り切ることになった。その結果、半導体装置事業は2018年度に黒字化した。 ニコンが2002年に経営危機に陥った際、半導体世界最大手(当時)の米インテル社が露光装置の開発費100億円を負担した経緯もあって、2000年代以降はインテル社に半導体露光装置部門の経営を依存している。ニコンの市場シェアが下がり続け、2010年代以降に経営が悪化する中でも、インテルは2012年にニコンの次世代露光装置開発のために数百億円とされる開発費を負担するなど、インテルだけは頑なにニコンの露光装置を使い続けていた。2014年当時、競合する半導体露光装置メーカーであるキヤノンが最先端プロセスであるArFの開発から撤退してKrFとI線に絞り、またASMLが次世代ArF露光装置の開発を一時停止してまで実現の見通しが立たないEUV露光装置の開発に社運をかけていたのに対し、ArF液浸に社運を賭けるニコンはシェアは低いながらも2014年当時で世界最先端の半導体露光装置メーカーであり、インテルはニコンのArF液浸露光装置を用いて2014年当時で世界最先端である14nm世代の半導体の製造に成功した。しかしASML社がEUV露光装置の開発に成功し、2010年代後半よりインテルの競合他社がASML社の製造したEUV露光装置の導入によって7nm世代(またはそれ以降)の半導体を製造するなか、頑なにニコンのArF液浸露光装置を使い続けるインテルは7nmプロセスの開発が大幅に遅れ、14nm/10nm世代から移行できずに業績が悪化し、2018年には半導体世界2位に転落。インテルも7nm世代ではASMLのEUV露光装置を導入することになり、2020年上半期にはニコンからインテルへの露光装置の納入が半減。同時に半導体装置の7~9割がインテル向けであるニコンの半導体装置事業の業績も悪化するリスクが懸念されている。 なお、ニコンが「次世代露光装置」としてインテルの支援を得ながら社運をかけて開発した450mmウエハー対応ArF液浸露光装置は、2015年に予定通り試作機が完成し、2017年には量産機が出荷されるはずであったが、競合メーカーのEUV露光装置の実現とともに立ち消えになった。ただし、2021年現在のニコンとしては、競合メーカーのEUV露光装置の需要が伸びたとしても、ArF液浸露光装置の底堅い需要が2026年までは続くので、半導体露光装置事業は大丈夫だと考えている。
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