動作特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/20 02:05 UTC 版)
「コッククロフト・ウォルトン回路」の記事における「動作特性」の解説
CW回路にはいくつか実際上の欠点もある。出力から負荷電流を取っている場合には、サイクルごとに電荷がコンデンサに流出入するためリップル電圧と電圧降下が生じる。変動の程度は、1サイクル当たりに流れる電荷量やコンデンサの充電量に依存し、段数が増えるとともに急激に強まる。負荷電流がなかったとしても、回路内の浮遊容量を流れる電流によってコンデンサの電圧は脈動する。そのため特にカスケードの高段で電圧の降下が起きる。以上のような事情により、CW増幅器の段数を増やせるのは出力電流が比較的小さくて済む場合に限られる。これらの効果を軽減するには、カスケード低段のキャパシタンスを増加させたり、入力周波数を増加させたり、方形波もしくは三角波の入力電源を使用する方法がある。インバータを用いたり、インバータと高圧トランスを組み合わせるなどして電源を高周波にすると、CW装置全体のサイズと重量を大きく低減することができる。 電圧脈動を低減するために考案された全波整流型(対称型とも)CW回路を右図に示す。これに対し従来のCW回路は半波整流型と呼べる。全波整流型の装置では左右の2本のコラムに対して逆位相の交流電圧が与えられる。そのため実質的にサイクルの周波数は2倍になる。また回路が完全に対称であれば、負荷電圧を取り出す場合でも、ポンプ電流は左右のコラムの間でやり取りされるのみで、中央コラムのコンデンサは充放電を行わない。これらの機構により、前節で述べたリップルや電圧降下が抑えられている。 以下の表はCW回路の出力に生じる電圧変動である。ここで I は負荷電流、f は周波数、C は各段のコンデンサのキャパシタンス(すべて等しいとする)を表す。 CW回路の電圧変動半波整流型全波整流型電圧降下 I f C ⋅ N 3 ( 2 N 2 + 1 ) {\displaystyle {\frac {I}{fC}}\cdot {\frac {N}{3}}\left(2N^{2}+1\right)} I f C ⋅ N 3 ( N 2 2 + 1 ) {\displaystyle {\frac {I}{fC}}\cdot {\frac {N}{3}}\left({\frac {N^{2}}{2}}+1\right)} リップル(ピーク値) I f C ⋅ N 2 ( N + 1 ) {\displaystyle {\frac {I}{fC}}\cdot {\frac {N}{2}}\left(N+1\right)} I f C ⋅ N 2 {\displaystyle {\frac {I}{fC}}\cdot {\frac {N}{2}}}
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