冪乗から指数函数へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 17:26 UTC 版)
「底に関する指数函数」の記事における「冪乗から指数函数へ」の解説
狭義正の実数 a を考える。1 以上の整数 a に対して、an を a をそれ自身 n 個掛けたもの exp a ( n ) = a n := a × a × ⋯ × a ⏟ n factors {\displaystyle \exp _{a}(n)=a^{n}:={\underset {n{\text{ factors}}}{\underbrace {a\times a\times \cdots \times a} }}} と定義するのは容易い。さらに a 0 := 1 {\textstyle a^{0}:=1} および a − n := 1 a n {\textstyle a^{-n}:={\frac {1}{a^{n}}}} と定める。性質 a n + m = a n × a m {\textstyle a^{n+m}=a^{n}\times a^{m}} が成り立つことを見るのは容易い。 例 このような構成は、指数函数的成長または指数函数的減衰と呼ばれる現象に極めて自然に対応する。 詳細は「幾何数列」を参照 例 1: 人口が10年ごとに30%増える場面を想像しよう。1900年における人口が N のとき、1910年, 1920年, …… の人口は簡単に N × 1.3, N × 1.32, …… と計算でき、n 10年後には N × 1.3n となる。1890年, 1880年, …… の人口さえも計算できて N × 1.3−1, N × 1.3−2, …… となる。 例 2: 炭素14は放射性崩壊の半減期 T = 5 730 年を持つ(つまり、T 年ごとに放射性粒子の数が半分になる)。ある時点で測った放射性粒子の数が N ならば、n 周期後には放射性粒子の数は N × (1/2)n しかない。 考えたい問題は、2つの測定時点 (人口に対する10年期や粒子数に対する半減期) の「間」における人口や放射性粒子の数を決定すること、したがって「整数の間の穴を埋める」方法を知ることである。そのような試みは n-乗根によって成すことができる。つまり、人口が10年で 1.3倍になるとき、1年ごとに何倍になるかを決定しようと思うならば、その倍率は q10 = 1.3 を満たす実数 q, すなわち q = 10√1.3 (これを 1.31/10 とも書く) である。 非整数 (有理数) rの冪乗 (有理数乗冪[編集]) ar は、 exp a ( 1 / q ) = a 1 / q = a q , {\displaystyle \exp _{a}(1/q)=a^{1/q}={\sqrt[{q}]{a}},} および exp a ( p / q ) = a p / q = ( a q ) p = a p q {\displaystyle \exp _{a}(p/q)=a^{p/q}=({\sqrt[{q}]{a}})^{p}={\sqrt[{q}]{a^{p}}}} という「穴埋め」を行えば任意の有理数に対しては定義できる。 実数 x に対する ax の定義には連続性に関する議論を用いる。すなわち、x に限りなく近い有理数 p/q をとって、ax の値は ap/q の極限と定めるのである。 このような ax が何であるべきかという直観的アイデアの登場は非常に早く、冪記法の登場と同時期の17世紀には知られていたが、x ↦ ax が 函数であること 恒等式 ax + y = ax⋅ay が満たされる、すなわち和が積へ写ること 連続であること 対数函数(これは積を和に写す)の逆函数であること 微分可能であり、かつ導函数が原函数に比例すること などが認識されるには次の18世紀半ばを待たねばならなかった。
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