内部の納骨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:32 UTC 版)
納骨用の造作としては、玄室中央に大きな穴を掘り(画像11)、そこに火葬した骨を次々に入れる場合。火葬せずに遺体を納める場合。床面に小さな穴を次々に掘り、そこに火葬した骨を納める場合(画像23)。また壁に四角や丸い穴(龕)を開けてそこに火葬した骨を納める場合や、三面壁の天井下に長押(なげし)状の納骨用彫り込みを持つやぐらなどがある(画像13)。ほとんどは火葬した骨である。 それらの穴(龕)には蓋をされていた形跡が残るものもある。長押(なげし)は柱同士の上部などを水平方向につなぎ、柱の外側から打ち付けられるもので、現在の住宅にもあるが、古代中世の寺院建築においては構造的な意味合いが強く、部材も厚かった。古代・中世の古建築の解体修理などをすると、この長押上に納骨されているのが見つかることがある。 ただし納骨用の造作をもたず、仏華瓶や香炉などに遺骨を納めて石塔の脇に置く例や、五輪塔や宝篋印塔の中に納骨されている場合もある。つまり人一人分の骨としてはえらく少ない。ほぼ分骨ぐらいの量である。後世にそれが持ち去られてしまえば納骨の痕跡はそこに残らない。当時の火葬では遺骨は炭や灰に混じり全てが回収できるわけではない。火葬場の発掘では焼土や炭に混じって骨の破片がある。中にはかなりの部分を残していたり、稀には焼いたままその場で焼き穴を埋めてしまったものも見つかっている。つまり全ての骨の回収はそもそも無理なので、拾えるだけの骨を拾い、布などに包んでやぐら中央の大きな穴に納めるということもあれば、供養のためのお骨だけを拾い、香炉などに入れてやぐらに納め、そこで十王信仰や十三仏信仰に基づく追善供養を営むというようなことが考えられる。つまりやぐらは現在の墓の感覚、納骨場所とは異なり、供養(法事)をする場所、供養する対象として納骨する場所という性格が強いということになる。
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