側梁緩衝ゴム式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 17:09 UTC 版)
汽車製造による低コストな1自由度系空気ばね台車の提案に対し、同様に京阪電気鉄道へ台車を納入していた住友金属工業も、コスト面での競争力を維持すべく、同種の廉価版空気ばね台車を開発する必要に迫られた。 この問題に対し、住友金属工業が出した回答は、軸箱の前後・上部に防振ゴムパッドを取り付け、側梁との間の変位に対応させた、側梁緩衝ゴム式と呼ばれるシンプルな構造の台車であった。 この系統の台車は1960年の2100形用FS337を初号機種として、空気ばねを中間リング型に変更した2000形用FS337A(1961年)へ発展し、さらに1962年には2106に日本初のダイアフラム型空気ばね台車へ設計変更されたFS337Aを装着して実用試験が実施され、1964年製以降は同型番のままダイアフラム空気ばねへ移行した。 この台車もエコノミカルトラックと同様、左右の側枠をねじり方向への弾性変形に対応するつなぎ梁で連結したもので、揺れ枕部分をインダイレクトマウント式空気ばね支持としたことを含め、明らかにエコノミカルトラックの構造を模倣あるいはその設計コンセプトに追従する設計となっている。 もっとも、この台車については軸箱上部の薄いゴムパッドを撤去してコイルばねに置き換えることが容易な設計となっており、1964年の2200系用FS337Bではエコノミカルトラックが防振ゴム厚を増大させた改良型のKS-73系へ移行したのに呼応して全てコイルばね装着に変更され、以後の同系台車はすべて通常の2自由度系台車となった。また、既存のFS337・FS337Aについても1981年に上部防振ゴムがコイルばねへ変更されている。 なお、この側梁緩衝ゴム式は曲線通過性能が良好であるため、軸ばね付きのモデルであるが、京阪本線用だけでなく京津線500・600・700形にFS503・FS503Aが採用され、系列会社である叡山電鉄でもデオ810形にFS556が採用されている。 また、営団地下鉄銀座線01系 (FS520・FS020)、丸ノ内線02系 (FS520A・FS020A) などにも同系台車が採用されており、この系統の台車はむしろ急曲線通過に強い廉価な2自由度系台車として成功を収めることとなった。
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