介在物除去
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/23 23:18 UTC 版)
介在物除去のためのいくつかの仕組みや技術が使用されている。連続鋳造機自身から不要な物質が溶鋼に溶け出さないようにすることも考慮されている。 タンディッシュ 取り鍋の底部から流された溶鋼は、堰によって分割されたタンディッシュと呼ばれる容器に一次的に蓄えられ、さらに底部から下の鋳型に流される。常に底部から次の容器に移されることや、区分けされた貯留部分によって、より多くの介在物が表面に浮いてくる。 タンディッシュでは介在物が浮くまで待つその時間分だけ溶鋼が冷えてしまう。特に継ぎ目部分での温度低下を防ぐために、アルゴン、酸素、空気、窒素などのプラズマ化した高温気体で部分的に加熱する工夫も行なわれる。 鋳型 鋳型の垂直部分を長く取る。これによって湾曲が早く始まるよりも、より多くの介在物が表面に浮いてくる。 LMF EMBr LMF(Level Magnetic Field)およびEMBr(Electro-Magnetic brake)電磁ブレーキと呼ばれる技術では、タンディッシュから鋳型内に流入した溶鋼が、あまり早く下降しないように静磁界をかけてブレーキとする。これにより、介在物が表面に浮上しやすくなる。 EMS EMS(In-mold Electro-Magnetic Stirrer、鋳型内電磁攪拌)と呼ばれる技術では、鋳型内の磁界を回転移動させることで溶鋼に流れを作り、最初に固まる外側に介在物が留まったまま固まらないようにする。 EMC EMC(Electro Magnetic Casting)と呼ばれる現在開発中の技術では、鋳型外から交流磁界をかけることで内部の溶鋼に逆起電力が生まれ、そのローレンツ力から生まれる中心軸方向に絞り込まれる力で、溶鋼と鋳型の間に隙間が広がる。この隙間に保温と潤滑を助ける連続鋳造パウダーが広がったメニスカス(Meniscus)から入り込む為、ゆっくりと冷え固まるので、表面欠陥が減らせる。従来の鋳型では鋳片と鋳型壁面とのスティッキングを防止するため鋳型に振動を与えており、その振動により溶鋼表面にオシレーション・マークと呼ばれるくぼみが生まれ、介在物や気泡が取り込まれることで生じる表面欠陥があったが、これが防げると共に、先に冷えた凝固殻と呼ばれる外側表面が上にずり上がることも防げるので縦割れ欠陥も防げると期待される。
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