二部授業(夜間授業など)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 13:48 UTC 版)
二部授業とは、学校に在学する生徒を複数の組に分けて、別々の時間帯で授業を行うことである。学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)の第25条(市町村立小中学校等の設置廃止等についての届出)の第5号を根拠としている。校舎などの学校施設が、在学する生徒数に対して極端に不足している場合などに行われることもあるが、現代社会では昼間に通学して学習することが困難である人のために、夜間にも授業を行うことを指すことが多い。中学校における夜間の授業は、『暮しの手帖』のように取り上げる雑誌もあったものの、1993年に上映された山田洋次監督の映画『学校』が話題となるまで、世間全般への認知度は高いものではなかった。 中学校における夜間の授業は、各学校において「夜間部」「夜間学級」などと名称が定められ、夜間中学校(やかんちゅうがっこう)などとも通称されることが多い。夜間の授業は、夕方5時30分頃から授業が開始され、夜9時頃に終わる、4時限の課程である。基本的には、学齢超過者だけが在籍する。なお、夜間の授業は、二部授業(時間帯別に生徒を分けた授業)として認可されているため、夜間に授業を行う中学校は、通例、昼間にも授業を行っている。 夜間の授業を受けている人には、外国籍、戦後の混乱期に勉強の機会を得られなかった高齢者、不登校、などほとんど文字の読み書きができない成年の生徒も多く、そういった学齢超過者は、日本の現在の受け入れ態勢のもとでは小学校に入学することが困難であるため、中学校における夜間の授業は、日本語教室、日本語学校、識字教室、小学校の代替としての役割も果たすともいわれている。また、授業時間は、昼間の授業よりも少ないことが多く、授業は、「中学校学習指導要領」(文部科学省告示)を完全に模倣することが難しい。そのため、国語、数学のように、日常生活の基本となる教科が重視され、それ以外の教科や実技教科(保健体育など)に割り当てられる時間数は少ない。生まれて初めて鉛筆を持つ人から、中学校に途中まで在学した人までの幅広い生徒が在籍し、生徒間の学力の差が大きいため、習熟度別授業を行っている事が多い。また、制服はない場合が多い。夜間の授業を受ける場合は、年間を通して随時入学できる。 夜間の授業を受けるための入学資格を定めた法令等は存在しないものの、義務教育を修了していない人であり、かつ学齢を超過している人(満15歳に達した日以後に4月1日を迎えている人)である事が、実質的な夜間の授業を受ける要件とされていたが、2015年の文部科学省の通知により、ほとんど出席せず卒業した者も個別に判断して夜間中学校に入ることができるようになった。外国人の入学者が増えている自治体もある。 2021年の時点で、夜間の授業を行う学校の数は36校、2020年の生徒数は1293人であるが、夜間の授業に積極的な設置者(教育委員会、学校法人など)が、東京圏、大阪圏に集中しているため、中学校の正規の授業として認可を受けていない「自主夜間中学」が日本全国の20校ほどの中学校と有志で運営されてきた。こうした状況を打開するため、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年12月14日公布)では、未設置の道府県にも夜間の授業を行う中学校を最低1校設置して、就学の機会を提供することがうたわれ、例えば、夜間の授業を行う中学校を設置していなかった埼玉県で、2019年(平成31年)4月1日に川口市立芝西中学校陽春分校に県下全域を対象とした夜間学級が設置された。
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