事件前史とは? わかりやすく解説

事件前史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 16:36 UTC 版)

橘奈良麻呂の乱」の記事における「事件前史」の解説

橘奈良麻呂の父の左大臣橘諸兄は、聖武天皇治世政権担当していた。 743年天平15年)、難波行幸中の聖武天皇が病に倒れた時、奈良麻呂は佐伯全成対し小野東人らと謀り次期天皇黄文王擁立する旨の計画を漏らす。既に738年天平10年)の段階で、皇女阿倍内親王皇太子立てられていたが、奈良麻呂が「皇嗣立てことなし」と皇太子存在しない述べている。当時女帝全て独身未婚未亡人)であり、1代限りで終わる阿倍内親王ではなく男性皇位継承者求め動き背景にあった考えられている。 749年天平21年/天平感宝元年/天平勝宝元年)、聖武天皇譲位し阿倍内親王孝謙天皇)が即位すると、天皇母の光皇太后信任されていた藤原仲麻呂皇太后のために新設され紫微中台長官紫微令)に任命される。仲麻呂孝謙天皇からも寵愛深く急速に台頭してゆく。一方阿倍内親王皇位継承批判的見られていた橘諸兄親子勢力次第衰退することとなった藤原氏台頭危機感抱いた奈良麻呂は、11月孝謙天皇即位大嘗祭の時、佐伯全成に再び謀反計画謀った。しかし全成が謀反への参加拒絶したため謀反実行することが出来なかった。 755年天平勝宝7年)、諸兄従者佐味宮守から、諸兄酒宴の席で朝廷誹謗したとの密告があった。聖武太上天皇はこれを問題としなかった。この時、越前守佐伯美濃麻呂証人として喚問され美濃麻呂は「私は大臣何をおっしゃったのかは知りません。ただ考えますと、佐伯全成なら知っているでしょう」と答えている。そこで、全成が喚問されることになったが、光明皇太后天皇なだめたため、沙汰止みになったという。 翌756年天平勝宝8歳2月、これを恥じた諸兄辞職した同年4月聖武上皇不豫の際黄金携えて陸奥より上京した佐伯全成に対して三度謀反計画謀った。このとき奈良麻呂は大伴古麻呂誘い大伴佐伯両氏をもって黄文王擁立告げるが佐伯大伴両氏はともにこれを拒絶した同年5月2日聖武太上天皇崩御する太上天皇遺言より道祖王が立太子された。 翌757年天平勝宝9年1月引退していた橘諸兄失意のうちに74歳死去する。なお、奈良麻呂の一連の計画と父である諸兄の関係について、知らなかったもしくは計画反対してその抑制動いていた(反対に諸兄という重しなくなったことで奈良麻呂の動き活発化した)とする森田悌中村順昭の説と奈良麻呂が12年もの間に度々計画企てていたのに父の諸兄が何も知らなかったのは不自然で、先の誹謗問題の件も考えると計画何らかの関与をしていた可能性があるとする木本好信の説に分かれている。 同年3月道祖王孝謙天皇不興受けて廃された。4月に入ると、天皇群臣集めて次の皇太子について意見述べさせた。藤原豊成藤原永手塩焼王推挙し文室智努大伴古麻呂池田王推挙した。しかし、藤原仲麻呂は「臣下のことを一番よく知るのは君主です」と述べて天皇意向従いたい述べた。それを聞いた天皇は、皇室長老であった新田部親王舎人親王の子の中から選ぶのが妥当と言うこと新田部親王の子である道祖王皇太子選ばれたが今回廃されたので今度舎人親王の子から選ぶのが適当であると述べた上で船王は閏房のことで、池田王孝行のことで不適切な行いがあったとし、(新田部親王の子であるが今回群臣からの推挙のあった)塩焼王についてもかつて聖武天皇不興買ったので不適切であるとして、大炊王淳仁天皇)を立太子することを宣言した。しかし、実は大炊王は仲麻呂後ろ盾となっており庇護していた人物であった『続日本紀』天平宝字元年4月辛巳条)。

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