主人公とライバルの関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 14:58 UTC 版)
スポ根作品ではライバルの存在が必須となることは定義の項で述べた通りだが、梶原一騎の作品群ではその傾向が顕著となる。両者の関係は時に友情とも称されるが、梶原にとっての友情とは馴れ合いや助け合いのようなものでなく、闘争の中で互いを高め合っていくものだとしている。 友情ってものは、ベタベタして、キミ好き、ボク好きとか言って、おたがいに弱いところを補いあったり傷口をなめあったりするようなもんではなく、いまやさしさということが言われすぎているけど、男の友情はある意味では戦いのようなものであって、おたがいが戦って、激突して、切磋琢磨ってことばが昔あったけど切磋琢磨して、おたがいが大きく成長していくものだと。 — 梶原一騎 評論家の米澤嘉博はスポ根における物語性を「主人公に絶対的主点を置き、世界は主人公を中心に回っていく」「すべての登場人物やエピソードは主人公のヒーロー性を輝かせるために存在する。(中略)ライバルたちの生活や心の中が描写され、その力がどこまで描かれようと、そのライバルを倒したのだから、その主人公はますます凄いという具合に、ドラマは流れていく」と評し、相対的な視点を有した手塚治虫の作品群とは対極にあると位置付けている。一方、梶原自身は勝負の結果として勝者と敗者の明暗が分かれたとしても、勝利のみに比重を置いたり、どちらか一方を賞賛する意図はないとしている。 ヒーローに対するライバルがいて、それから、燃えつきちゃう人間とささやかな暮らしをてきとうにエンジョイする人間がいる。『巨人の星』だと、最後の場面は、飛雄馬が左門の結婚式場を窓の外から見て消えていくでしょ、彼の肩はこわれちゃってて。どっちがよくて、どっちがわるいということじゃなくて、どっちがいてもいいんだ。 — 梶原一騎
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