ヨーロッパにおける歴史 - ドイツ、オーストリアでの発達と、イギリスにおける認知神経心理学アプローチ
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「言語聴覚士」の記事における「ヨーロッパにおける歴史 - ドイツ、オーストリアでの発達と、イギリスにおける認知神経心理学アプローチ」の解説
「言語」によって人間関係や社会関係が作られている以上、人類の歴史とともに言語聴覚障害もあったといえる。失語症と思われる症例の記述は、古代エジプトのパピルスや古代ギリシャのヒポクラテス集典に認められる。 言語聴覚に対する訓練の歴史は、古代ローマに遡る。ローマの医師、アルキゲネスは、耳の訓練のために、チューブを通して大きな音を耳に伝えようとしていた。ルネサンス期になると、主にスペインを中心として、聴覚障害を有する貴族の弟者への教育が行われるようになった。 学校教育として聴覚障害の教育が始まったのは18世紀後半である。ドイツ人のザムエル・ハイニッケは口話法を体系化し、フランス人のド・レペは手話法を体系化し、19世紀を通して後者の手話法が広がった。 今日の言語聴覚士の業を支えるのは、音声言語医学と言語病理学であり、前者の源流は、言語中枢が発見され、咽頭鏡が発明された19世紀中葉のヨーロッパに発する。ヨーロッパでは、1924年に国際音声言語医学会(IALP)がオーストリアで発足し、医師や言語聴覚士が集い、今日まで続いている。1986年には東京で第20回大会が開催されている。ただし、ドイツでは医師のリーダーシップが強く、言語聴覚士の養成は専門学校での教育が主体であった。 他方で、イギリスでは、1944年にライオネル・ローグらによってカレッジ・オブ・スピーチ・セラピスツと称する言語聴覚士協会が発足するなど、独自の発展を見た。その一つは、認知心理学と神経心理学とが統合した認知神経心理学に理論的根拠を求めるアプローチであり、1984年に学術誌Cognitive Neuropsychology、1987年にAphasiologyが創刊されている。イギリスでは、学部課程と修士課程での養成コースが設けられている。
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