メタンエンジンの発表と開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 08:11 UTC 版)
「ラプター (ロケットエンジン)」の記事における「メタンエンジンの発表と開発」の解説
2012年11月にCEOのイーロン・マスクはスペースX社の推進部門がメタン燃料ロケットエンジンを開発するという新たな方針を発表した。彼はエンジンの概念の識別名称がラプターであることとともに、エンジンはメタン燃料の設計になる見通しであり、メタンはスペースX社の火星植民化計画の燃料として選ばれる予定であると述べた。 2009年にスペースX社によって公表された当時、ラプターは上段エンジン専用の概念であり、2012年の時点でも同様であったしかし、2014年初頭、スペースX社はラプターは新型の2段目同様に大型の直径10mのマーズ・コロニアル・トランスポーターにも使用される見込みであると言及し、それぞれのブースターコアはファルコン9のブースターコアが9基のマーリン 1Dエンジンを備えるのに似たような9基のラプターエンジンを備えるとされた。。 スペースX社が二段燃焼サイクルのメタンエンジンを検討中だったという兆しは、2011年5月にスペースX社がアメリカ空軍に対してケロシン燃料が主流の空軍の再利用型高推力メインエンジンソリューションと競合する選択肢としてメタンエンジンに関心があるかを尋ねた時にまで遡る。 2012年11月に公表された情報によると、スペースX社はラプターをシリーズ化する意向であるとされる。スペースX社はこのことを2013年10月に認めている。 しかしながら、スペースX社のCOOであるグウィン・ショットウエル(英語版)は2014年3月、新エンジンの開発計画はフルサイズのラプターエンジンのみで、小型のメタンエンジンは予定していないと述べた。 2013年、10月、スペースX社はメタン燃料のラプターエンジンの試験をミシシッピ州ハンコック・カントリーのステニス宇宙センターで実施し、既存の試験設備に液化メタンエンジンの試験を支援するための設備を追加する予定であると発表した。2014年4月、スペースX社はステニス宇宙センターの試験設備についてラプターの試験に必要な改修作業が完了し、2014年5月末から試験を開始する予定であると発表した。 2013年10月にスペースX社はラプターエンジンの設計推力が2,940 kN (661,000 lbf) になると初めて公表したが、2014年初頭にはラプターエンジンはさらに高推力となると発表した。 2014年2月、スペースX社のロケットエンジン開発の最高責任者であるトム・ミュラー(英語版)は設計中のラプターは9基のエンジンで100トン以上の貨物を火星に送る予定で、ロケットはこれまで公表されていたよりも強力で推力は4,400 kN (1,000,000 lbf) 以上となる見通しを示した。2014年6月に、ミュラーが述べたエンジンの目標性能は海面高度で推力6,900 kN(705トン)、真空中では8,200 kN(840トン)で比推力380秒とされる。初期の設計では真空中での比推力はわずか363秒と推定されていた。 2015年1月、イーロン・マスクは現在の推力の目標値を以前の発言より大幅に低いおよそ2,300 kN(230トン)であるとした。これは9基のエンジンには彼が"多くのエンジンがあること"に起因すると言及したように多くの問題がある事によるものである。
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