ホモロジカルミラー対称性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 05:10 UTC 版)
「ミラー対称性 (弦理論)」の記事における「ホモロジカルミラー対称性」の解説
詳細は「ホモロジカルミラー対称性予想」を参照 弦理論や超重力理論のような関連する理論では、「ブレーン」(brane)が点粒子の考え方の高次元への一般化された物理的対象である。例えば、点粒子はゼロ次元のブレーンと考えることができるのに対し、弦は 1次元のブレーンとして考えることができる。また高次元のブレーンも考えることができる。ブレーンということばは、「メンブレーン」(membrane)ということばから来ていて、2次元のブレーンである。 弦理論では、弦 (物理学)(英語版)は、(2つの端点を持つ構成となっている)開弦と(閉じたループになっている)閉弦がある。D-ブレーンは、開弦を考えるときに発生する重要なブレーンのクラスである。開弦は時空の中を伝搬し、その端点は D-ブレーンの上にあることを要求される。D-ブレーンの中の文字の "D" は、ディリクレ境界条件として知られているある数学的条件を導入するという事実から来る。 数学的には、ブレーンは圏の概念を使い記述することができる。 これは対象と対象の任意のペアに対して、それらの間の射(morphism)からなる数学的な構造である。大半の例では、対象はある数学的な構造を持っていて(例えば、集合、ベクトル空間や位相空間といった)、射はこれらの構造の間の函数により与えられる。 対象がD-ブレーンで、射が2つのD-ブレーン α {\displaystyle \alpha } と β {\displaystyle \beta } の間の射が α {\displaystyle \alpha } と β {\displaystyle \beta } の間に伸びた開弦の波動函数であるとも考えられる。 位相的弦理論のB-モデルでは、D-ブレーンのカテゴリは、その上に弦が伝搬するカラビ・ヤウ多様体の複素幾何学から構成される。数学のことばでは、カラビ・ヤウ多様体上の連接層の導来圏として知られている。他方、A-モデルのD-ブレーンのカテゴリは、ミラーであるカラビ・ヤウ多様体のシンプレクティック幾何学から構成される。数学では、これは深谷圏(英語版)として知られている。 マキシム・コンツェビッチのホモロジカルミラー対称性予想は、ある意味でこれらの 2つのブレーンのカテゴリが同値であることを言っている。
※この「ホモロジカルミラー対称性」の解説は、「ミラー対称性 (弦理論)」の解説の一部です。
「ホモロジカルミラー対称性」を含む「ミラー対称性 (弦理論)」の記事については、「ミラー対称性 (弦理論)」の概要を参照ください。
- ホモロジカルミラー対称性のページへのリンク