ホッジダイアモンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/25 17:11 UTC 版)
「ホモロジカルミラー対称性予想」の記事における「ホッジダイアモンド」の解説
(p,q)-調和微分形式の空間の次元 hp,q (同じことであるが、コホモロジー、つまり、完全形式を modulo とする閉形式)は、ホッジダイアモンドと呼ばれるダイアモンドの形に並べることができる。たとえば、3-次元多様体に対しては、ホッジダイアモンドは 0 から 3 までの範囲の p × q のダイアモンドの形にすることができ、 h3,3 h3,2 h2,3 h3,1 h2,2 h1,3 h3,0 h2,1 h1,2 h0,3 h2,0 h1,1 h0,2 h1,0 h0,1 h0,0 となる。ミラー対称性では、元の多様体上の (p,q)-微分形式の空間の次元 hp,q とすると、ミラー対称である相手の多様体上の (p,q)-微分形式の空間の次元は hn-p,q となる.すなわち、全てのカラビ・ヤウ多様体に対して、ホッジダイアモンドは π の回転しても変わらなく、ミラー対称であるカラビ・ヤウ多様体のホッジダイアモンドは π/2 の回転で入れ替わる。 1-次元カラビ・ヤウ多様体と見なすことのできる楕円曲線の場合には、ホッジダイアモンドは非常に簡単で、次のようになる。 1 1 1 1 K3曲面の場合には、2-次元のカラビ・ヤウ多様体と見なすことができるが、ベッチ数が、{1, 0, 22, 0, 1}であるから、K3曲面のホッジダイアモンドは次の図のようになる。 1 0 0 1 20 1 0 0 1 ところで、3-次元の場合(この場合を通常はカラビ・ヤウ多様体と呼ぶ)には、面白いことが起きる。ホッジダイアモンドが対角線(斜め線)を中心線として対称なホッジ数を持つペア M と W が存在することがある。 M のダイアモンド: 1 0 0 0 a 0 1 b b 1 0 a 0 0 0 1 W のダイアモンド: 1 0 0 0 b 0 1 a a 1 0 b 0 0 0 1 この場合には、M と W は弦理論のA-モデルとB-モデルに対応する。なお、ミラー対称性は、ホモロジカルな次元を入れ替えるだけでなく、ミラーペアの上のシンプレクティック構造と複素構造を入れ替える。 1990-1991年に、Philip Candelas, Xenia C. de la Ossa, and Paul S. Green et al. (1991) は、数え上げ代数幾何学のみならず、数学全体へ大きな影響をもち、Kontsevich (1994)への動機ともなった。この論文の中のクインティックスリーフォールドのホッジダイアモンドは、次の 2つのホッジダイアモンドとなる。 1 0 0 0 1 0 1 101 101 1 0 1 0 0 0 1 1 0 0 0 101 0 1 1 1 1 0 101 0 0 0 1
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