プラモデルにおけるデフォルメ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 03:28 UTC 版)
「スケールモデル」の記事における「プラモデルにおけるデフォルメ」の解説
プラモデルにおけるスケールモデルは、「正確な縮尺」というイメージで捉えられがちだが、実際のものをそのまま小さくしてもそのとおりに見えないことが多い。これには複数の理由がある。ひとつには、実物を至近で見る場合、車や列車、航空機など、人間よりもはるかに大きいものを視認する際に、手前が大きく奥が小さく見える遠近法の原理で歪んで見えている一方、模型はその縮尺に比して十分に離れて見るためである。また、実物は見上げる視線で見るものも多いのに対し模型は上方から見るためもある。そのため各メーカーは縮小の際にある程度のデフォルメを行なう。正確に縮小されていても、実物と似て見えなければ、商品としては失敗作となってしまうからである。 例を挙げると、実物に忠実な寸法で製作されたフジミ模型製の乗用車の車両側面が胴長に見えたり、縮小比率的にはより正しいハセガワ製の隼よりも、よりデフォルメを行った日本模型製のボディーラインの方が実機のイメージを捉えているといわれたりする。タミヤで乗用車をわずかに寸詰まりにした例がある。 また縮小する過程において、小さくなり過ぎて再現が困難な部品の省略や、金型の都合で形状の変わる部品などが発生することも珍しくはない。特にプラスチックでは成形可能な部品の薄さや細さに限界があるため、実物を正確に縮小した場合より大幅に厚く、あるいは太く成形されてしまう場合も少なくない。また、スケール的には省略して当然のディーテールを、あえてオーバースケールで表現することもある。例えば、1/700スケール艦船の鋼甲板部に施された滑り止めなどは、10倍以上のオーバースケール表現となっている。 動力付きの模型の場合、モーターや電池の大きさなどによって模型の形状変更を余儀なくされる場合がある。モーターライズ仕様の自動車模型・戦車模型では、車両内装を再現しつつ走行用モーターや電池ボックスの位置を決めたため、正確な車体形状が崩れてしまう事があった。鉄道模型では、実物とは比べ物にならないくらいの急曲線の模型線路を走行させるため、台車や動力装置等がデフォルメされていることがある。また、小型モーターが技術的に製造・組込みできなかった時代の規格を引きずる製品では、車体のサイズが基準となるスケールをオーバーしている事がある。
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