ダイカスト法・真空ダイカスト法・無孔性ダイカスト法
鋳造法のうち、金属の鋳型(金型=ダイ)に溶融した金属(湯)を高圧で注入して鋳物をつくる方法をいう。
ダイカストでは、金型を用いるため寸法精度の高い、精密で鋳肌のきれいな鋳物が作成できる。また金属組織の緻密な、機械的性質の良い鋳物が製作できる。
ダイカストマシンによる鋳込み圧力は、ピストンを用いておよそ40~100気圧に達する。鋳型が金属であり放熱効果が高いことと、金型内を液冷することも可能であり、このため溶湯の凝固速度が速い。さらに、高い圧力によって鋳型に忠実な形状が得られるほか湯の射出速度も高速にできるため生産性が高く、大量生産に適する。
ダイカスト用の金型は、このような繰り返しの鋳込みに耐えねばならないので耐熱鋼が用いられ、鋳込み用合金としては、融点のあまり高くない亜鉛合金やアルミニウム合金などがおもに使用される。
欠点として金型製作に費用がかかること、金型の大きさに限度があること、鋳込み温度の高い金属( 高融点金属 )での鋳造が困難であることなどがあげられる。
また、湯を高速で射出、圧入を行うため、空気を巻き込んで鋳物内部に微少な空洞が発生しやすい。最近では、それを防ぐために、大気中で行われる一般的なダイカスト法以外に、真空雰囲気中で鋳込みを行い、空気や酸化膜の巻き込みを防ぐ真空ダイカスト法や、酸素雰囲気中で鋳込みを行い、溶湯の急速凝固による微少孔の発生を防ぐ、無孔性ダイカスト法が開発されている。
適している分野・使用事例
カメラのボディ、ビデオの機構部品、自動車エンジン部品など大量生産でかつ寸法精度を要求される部品。
用語解説
ダイカスト
(ダイカスト法 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/30 09:03 UTC 版)
ダイカスト (英: die casting) とは、金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属(溶湯)を圧入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量生産する鋳造方式のことである。ダイキャストとも言われる。またこの鋳造法だけでなくダイカストによる製品をもいう。ダイカストをとらえて「鋳物の産業革命」と称す向きもある。
- ^ 日本ダイカスト協会 (2008年). “鋳物とダイカストの歩み”. ダイカストの歩みと生産量. 日本ダイカスト協会. 2019年8月29日閲覧。
- ^ 日本ダイカスト協会 (2008年). “日本のダイカスト生産量”. ダイカストの歩みと生産量. 日本ダイカスト協会. 2019年8月29日閲覧。
- ^ 西直美「ダイカストの歩み 活字鋳造から自動車足回り部品まで」『軽金属』第57巻第4号、社団法人軽金属学会、2007年、163-170頁、doi:10.2464/jilm.57.163。
- ^ バンダイやクローバー等のメーカー製品の呼称から敷衍したもので、漫画「プラモ狂四郎」でフルスクラッチモデル(1点物の手製模型)を指して「ダイキャストは亜鉛とスズの合金だ」というセリフがあるが、ダイカストは高額の設備投資を要する量産用の技術で、工芸には使われない。
- ^ ダイカストマシンの技術史
- ^ アメリカでホットチャンバー方式の鋳造方式が実験され成功した事例があるが、現時点での実用化は不可能。
- ^ ホットチャンバー方式でも鋳造は可能である。
- 1 ダイカストとは
- 2 ダイカストの概要
- 3 ダイカストの歴史
- 4 ダイカスト製品
- 5 脚注・出典
- ダイカスト法のページへのリンク