平炉
(シーメンス・マルタン法 から転送)
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平炉(へいろ、Open Hearth furnace, OH)とは、左右対称に蓄熱室がある一種の反射炉で低く平らな形なのでこう呼ばれる。あるいは発明者のシーメンスとマルタンの名を取ってシーメンス=マルタン炉とも呼ばれる[1]。主に鉄の精錬に用いられる。蓄熱炉とも呼ばれるが、蓄熱室を蓄熱炉と呼ぶこともあるため注意を要する。
- ^ LD転炉は精錬が平炉より早くできる(20から30分程度)だけではなく、原料の大部分が銑鉄なので銅・錫などのスクラップ起源の不純物が入りにくく、酸素を吹き込むだけで燃料重油を用いないので硫黄が混入しない。
旧式転炉もこれらは同じだったが空気を底から吹き込むので鋼に窒素が混じる欠点があった。
- ^ a b c d e 「平炉」『世界原色百科事典 7 にま-ほた』 小学館 編、小学館、1966年(昭和41年)、535-536頁、全国書誌番号:67007850。
- ^ 「平炉鋼」『世界原色百科事典 7 にま-ほた』 小学館 編、小学館、1966年(昭和41年)、536頁、全国書誌番号:67007850。
- ^ 「第3章 金属 — 生活を支える物質I」『原色現代科学大事典 9 化学』 神保元二・山田圭一(責任編集)、堀内良(執筆)、株式会社学習研究社、1968年(昭和43年)、67頁、全国書誌番号:69024104。
- ^ 「転炉鋼」『世界原色百科事典 6 ち-にほ』 小学館 編、小学館、1966年(昭和41年)、329頁、全国書誌番号:66006752。
- ^ 「第3章 金属 — 生活を支える物質I」『原色現代科学大事典 9 化学』 神保元二・山田圭一(責任編集)、堀内良(執筆)、株式会社学習研究社、1968年(昭和43年)、66頁、全国書誌番号:69024104。
シーメンス・マルタン法
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装甲艦を語る上で重要なポイントの一つは船体に用いる金属の質と、その製法である。船舶の歴史上、その素材は木材が主流であった。しかし建造される船舶が次第に大型化するにつれ木材では素材として強度が足りなくなり、価格の高騰が進むようになる。製鉄技術の発達はその問題の解決策となるものであり、薄く延ばした鋼鉄で建造する事で木材を使用するよりも丈夫で軽く、コストを安く抑える事ができるようになるものであった。 製鉄技術の進歩に伴い小型の船舶には徐々に鉄の船体を用いられるようになったが、大型の船舶でこれを行う為にはさらに高い製鉄技術が必要とされる。イギリスの製鉄業では早期に平炉で高級鋼を生産するシーメンス・マルタン法が採用されており、鋼鉄板を同強度の鉄板よりも薄く、軽く、高品質に製造する事が可能であった。この為、イギリスでは早くから大型船の鋼鉄化を実現することが出来た。こうした高い技術力を背景として海外から造船の受注が増加したことにより、イギリスは1890年代までにヨーロッパの造船シェアで8割以上を占める造船大国として君臨する事となる。 こうした進歩の結実の一つが1843年に完成した蒸気船グレート・ブリテン号 (SS Great Britain) である。グレート・ブリテン号は排水量3675トン、全長98メートル、幅15.4メートルで、当時世界最大の鉄製の客船であった。また、鋼鉄のみで建造された貨物船も1881年に進水されたイギリス製のセルビア号である。装甲艦は、こうした高い製鉄技術や造船設計の進歩を背景とし、時代の要求に伴って産まれてきたのである。
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