ザンガ=ンドキ国立公園とは? わかりやすく解説

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ザンガ=ンドキ国立公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/30 06:16 UTC 版)

ザンガ=ンドキ国立公園
中央アフリカ共和国における位置
地域  中央アフリカ共和国
最寄り ベルベラティ
座標 北緯2度30分 東経16度10分 / 北緯2.500度 東経16.167度 / 2.500; 16.167座標: 北緯2度30分 東経16度10分 / 北緯2.500度 東経16.167度 / 2.500; 16.167
面積 1143.26 km²
創立日 1990

ザンガ=ンドキ国立公園(Parc national de Dzanga-Ndoki)は、中央アフリカ共和国南西部に位置する国立公園であり、2012年世界遺産リストに登録された「サンガ川流域の3か国保護地域」の構成資産の一つである。1990年に設定された面積1,143.26平方キロメートル (441.42 sq mi)[1]の国立公園だが、北のザンガ地区(ザンガ自然公園)49,500 ha (122,317 ac)と南のンドキ地区(ンドキ自然公園)72,500 ha (179,151 ac)という互いに離れた2つの地区で構成されている[2]。ザンガ地区で有名なのは、1平方キロメートル当たり1.6頭というゴリラの生息数の多さで、ニシローランドゴリラの密度としては世界最大級のものである[3]ジャンガ=ンドキ国立公園と表記されることもある[4]

ザンガ地区とンドキ地区の間にはザンガ=サンガ特別保護地域英語版335,900 ha (830,027 ac)がのびており、その保護地域とザンガ=ンドキ国立公園は、互いに固有の保護上の地位を持ちつつ、ザンガ=サンガ保護地域群英語版(DSPAC)を形成している[5][6]。ザンガ=ンドキ国立公園は、より上位のまとまりとして世界遺産「サンガ川流域の3か国保護地域」の一部を形成している(ザンガ=サンガ特別保護地域は世界遺産登録範囲の緩衝地域で、世界遺産には含まれていない)。また、2008年にこの国立公園を含む275,000 haの範囲が、「中央アフリカのサンガ川」(Rivière Sangha située en République Centrafricaine)としてラムサール条約の登録地になった[7]

地理

サンガ川流域の3か国保護地域の範囲。ザンガ=ンドキ国立公園は三角形の部分

ザンガ=ンドキ国立公園は、中央アフリカ共和国の南西端の三角形の場所に位置している。この地域を流れる主流はサンガ川である[8]。中央アフリカ共和国、カメルーンコンゴ共和国の正確な国境地点はサンガ川中の北緯2度13分14秒 東経16度11分31秒 / 北緯2.22056度 東経16.19194度 / 2.22056; 16.19194に位置し、これが公園の南西端にもなっている。

公園の海抜標高は340 m (1,120 ft)から615 m (2,018 ft)で、公園全体が沖積層の砂の上にある。河川に沿って森林が開けており、バイ(bai)と呼ばれる湿潤な窪地も見られる[9]。ザンガ・バイ(Dzanga Bai)は「ゾウたちの村」を意味し、250m×500mの砂が多い場所で、動物たちが塩をなめにやってくる。その中央部を小川であるザンガ川(Dzanga river)が横切っている[5][10]。1997年以降、バイ・ホコウ(Bai Hokou)は霊長類馴化プログラムの拠点となっており、調査とともに、観光客向けのゴリラの馴化が行われている[11]

ザンガ地区では1980年代に森林伐採などが行われたが、ンドキ地区には原生林が残っている[9]。2006年の時点で、国立公園の北西部にあたるロベ川(Lobé River)流域には、少なくとも15箇所のダイヤモンド鉱山が存在していた[12]

動物相と植物相

ザンガ=ンドキ国立公園の森林は、3つの類型に分けることが出来る。すなわち、主に乾燥している地帯、川沿いの湿地帯を含む半常緑林、リンバリGilbertiodendron dewevrei)が生い茂る鬱蒼とした森林の3種である。乾燥帯の森林はアオギリ科ニレ科の木々が茂り、林冠は開けている。その低木層はしばしばクズウコン科ショウガ科などの植物が見られる。サンガ川沿いにはコンゴコーパルノキ(Guibourtia demeusei、通称ブビンガ)が、森林の中には地元のヤシ酒醸造に用いられるラフィアヤシが見られる[7]

主要な森林の動物相にはニシローランドゴリラマルミミゾウチンパンジーモリイノシシアカカワイノシシシタツンガボンゴ[13]アフリカアカスイギュウ英語版ダイカー亜科の6種[14]ハイエナ、そしてカニカメなど[7]、手付かずの個体群が見られる。ザンガ地区のゴリラの密度は1平方キロメートルあたり1.6体となっており、ニシローランドゴリラについて報告された密度の中では最高位の部類に属する[3]

また、ザンガ=ンドキ国立公園は重要野鳥生息地(#CF008)にもなっており、他の2つの重要野鳥生息地、すなわちカメルーンのロベケ(#CM033)とコンゴ共和国のヌアバレ=ンドキ英語版(#CG001)と接している。ザンガ=ンドキ国立公園で報告されている鳥類は350種以上に上り、少なくとも260種が繁殖地としているものと見込まれている。シロボシヒメコマドリ英語版の仲間であるスティプロルニス・サンゲンシス(Stiphrornis sanghensis)はザンガ=サンガでのみ報告されている新種だが、コンゴ民主共和国、カメルーン、コンゴ共和国などの近隣地域にも生息している可能性はあることから[15]、より詳しいことは未解決である[9]

脚注

  1. ^ World Database on Protected Areas
  2. ^ Riley, Laura; Riley, William (2005). Nature's strongholds: the world's great wildlife reserves. Princeton University Press. p. 42. ISBN 0-691-12219-9. https://books.google.co.jp/books?id=icMuBQhW4vgC&pg=PA42&redir_esc=y&hl=ja 
  3. ^ a b Almasi, A.; Blom, A.; Heitkönig, I.M.A.; Kpanou, J.B.; Prins, H.H.T. (2001). “A survey of the apes in the Dzanga-Ndoki National Park, Central African Republic: A comparison between the census and survey methods of estimating the gorilla (Gorilla gorilla gorilla) and chimpanzee (Pan troglodytes) nest group density”. African Journal of Ecology 39. ISSN 0141-6707. http://library.wur.nl/WebQuery/wurpubs/lang/120417. 
  4. ^ 『ナショナル・ジオグラフィック日本版』2010年2月号、p.132
  5. ^ a b Central African Republic”. Africa's Eden. 2010年9月18日閲覧。
  6. ^ Balinga, Michael; Moses, Sainge & Fombod, Eunice (2006年8月). “A Preliminary Assessment of the Vegetation of the Dzanga Sangha Protected Area Complex, Central Africa Republic”. World Wildlife Fund, Smithsonian Institution. pp. 6–7. 2010年9月18日閲覧。
  7. ^ a b c Riviere Sangha située en République Centrafricaine | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2009年11月5日). 2023年4月6日閲覧。
  8. ^ The Sangha River Tri-national Protected Area (STN)”. Dzanga-Sangha. 2010年9月18日閲覧。
  9. ^ a b c BirdLife IBA Factsheet CF008 Dzanga-Ndoki National Park”. Downloaded from the Data Zone at http://www.birdlife.org. BirdLife International. 2010年9月19日閲覧。
  10. ^ Kamiss, Amis; Turkalo, Andrea K. (1999年11月30日). “Elephant Crop Raiding in the Dzanga-Sangha Reserve, Central African Republic”. The African Elephant Specialist Group (AfESG). p. 2. 2013年6月7日閲覧。
  11. ^ Field research”. Max Planck Institute for Evolutionary Anthropology, Department of Primatology. 2010年9月19日閲覧。
  12. ^ Chupezi, Tieguhong Julius; Ingram, Verina; Schure, Jolien. Impacts of artisanal gold and diamond mining on livelihoods and the environment in the Sangha Tri-National Park landscape. CIFOR. p. 31. ISBN 978-6-02-869314-1. https://books.google.co.jp/books?id=AW909H8TCl8C&pg=PA31&redir_esc=y&hl=ja 2013年6月7日閲覧。 
  13. ^ The endangered bongo antelope in Dzanga Ndoki National Park Central”. Encyclopædia Britannica. 2010年9月19日閲覧。
  14. ^ Dzangandoki”. dzangandoki.com. 2010年9月19日閲覧。
  15. ^ BirdLife International (2006). "Stiphrornis erythrothorax". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2006. International Union for Conservation of Nature. 2008年9月27日閲覧

ザンガ=ンドキ国立公園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 09:18 UTC 版)

サンガ川流域の3か国保護地域」の記事における「ザンガ=ンドキ国立公園」の解説

詳細は「ザンガ=ンドキ国立公園」を参照 中央アフリカ共和国サンガ・ムバエレ州のザンガ=ンドキ国立公園 (Parc National de Dzanga-Ndoki – CAR, ID1380rev-003) は、1990年設定された。ザンガ保護区とンドキ保護区分かれ、その面積前者49,500 ha後者72,500 haである。 2008年にはこの国立公園を含む275,000 ha範囲が、「中央アフリカサンガ川」(Rivière Sangha en Republique Centafricaine) としてラムサール条約登録地になった

※この「ザンガ=ンドキ国立公園」の解説は、「サンガ川流域の3か国保護地域」の解説の一部です。
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