オーセベリ船
オーセベリ船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 20:34 UTC 版)
スカンジナビアの帆船が絶え間なく進化を遂げたことは、オーセベリ船(Oseberg)で明らかである。この船は815年から820年頃造られたとみられ、ノルウェーのオスロの南ヴェストフォル県にある船葬墓から見つかった。オーセベリ船は最初の完全なロングシップの一つと考えてよい。その特徴は埋め込み式のマストとマスト・パートナー(マストの周囲の甲板を強化するための枠組み)である。後代の船と比べるとオーセベリ船はやや壊れやすいものであり、沿岸水域でのみ使用されたか、あるいは葬送用に特注されたものと考えられる。 この時代までに、リブ材の間隔が標準化されており、その強度も上がっていた。船体はより一層V字型をしており、艇長も長くなった。この新しい船体形状は横方向の安定度は弱いが、速度重視の結果だった。一枚板を使う代わりに木材を継ぎ合わせて造られており、安定性や敏捷さは増した。 オーセベリ船の艇長は21.5m、船幅5m、総重量は11トンである。 バイキングは優れた航海者であり、その船はロングシップと呼ばれた。ロングシップは軽く、形状が優美であり、安定しており、強度があり、操縦性がよかった。バイキングは戦闘用には船を長く細くした。船体は波を切って走り速度が出た。船体に柔軟性があり、波に合わせて進むことができた。ロングシップは船底が平らで喫水が浅く、水深が浅い海域や海浜でも行動できた。ロングシップは28から30mの長さがあり、100名以上の人を乗せられるように造られた。船の速度は1時間あたり30から35kmで走ることができたはずである。これはオールと帆を持っており、気象条件によらず進行することができたからである。 船は生の木材でできていた。竜骨は一本の幹で、船腹の板は何枚かの板を接ぎ合わせ、船尾の柱は大きな曲線状の木材から切り出された。角度のある部材は強めの枝材から、曲線のある部材は曲がった枝材から切り出された。ロングシップの建造では10個以上の道具が使われたと見られる。
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