オルバースのパラドックスとは? わかりやすく解説

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オルバース‐の‐パラドックス

Olbers' paradox宇宙の無限性についての逆説。もし宇宙静的一様ならば、地球からの距離rにある天体の数はrの平方比例し天体からの光の強度はrの平方反比例する。すると、ある距離にある天体明るさはrによらず定数となり、宇宙無限に大きく、rを無限大にすると、そこに含まれる天体からの光の強度無限大になってしまい、実際に夜空が暗いという事実と矛盾する19世紀ドイツ天文学者オルバース提唱。現在では宇宙の年齢有限性、および膨張宇宙論により、この矛盾解決されることがわかっている。オルバースの逆理オルバースの背理


オルバースのパラドックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 17:17 UTC 版)

オルバースのパラドックス(Olbers's paradox, Olbers' paradox)とは、「宇宙恒星の分布がほぼ一様で、恒星の大きさも平均的に場所によらないと仮定すると、空は全体が太陽面のように明るく光輝くはず」というパラドックスである。


注釈

  1. ^ 原文献[9]
  2. ^ ウェッソンらの調査では、研究者が書いた教科書10冊中の5冊は記述が曖昧であり、2冊は端的に誤っていた[10]
  3. ^ 例えば、以下では閉空間において携帯電話が出す電波とオルバースのパラドクスの関係が論じられている[17]
  4. ^ ただし核融合による説明以前は、隕石の落下や星の収縮による重力エネルギーの解放が恒星の放射のエネルギー源と思われ年齢は実際より数桁程度過小評価されていた。
  5. ^ 邦訳は例えば、『ユリイカ』(ポオ、八木敏雄 訳、岩波文庫、2008年、ISBN 978-4-00-323064-0)、『ユリイカ』(エドガア・アラン・ポウ、牧野信一小川和夫 訳、芝書店、1935年、国立国会図書館サーチR100000002-I000000786587-00)など。
  6. ^ ハリソンによれば、時間 t に関してスケール因子tn であるとき、一定の体積あたりの放射エネルギーは t/(1+n) に比例する[53]
  7. ^ 全放射に関して[10]。各波長に関して[54]
  8. ^ ただし、記号や導出過程は適宜変更し、例を追加した[55]

出典

  1. ^ Benguigui, Isaac (2007-10-29). “Loy de Chéseaux, Jean-Philippe”. In Hockey, Thomas, et al. (英語). Biographical Encyclopedia of Astronomers. Springer Verlag. p. 714. ISBN 978-0-3873-3628-2 
  2. ^ ハリソン 2004, pp. 13–15.
  3. ^ ハリソン 2004, pp. 115–117.
  4. ^ ハリソン 2004, p. 17.
  5. ^ ハリソン 2004, p. 27.
  6. ^ ハリソン 2004, p. 274.
  7. ^ ハリソン 2004, p. 256.
  8. ^ ハリソン 2004, p. 19.
  9. ^ Bondi, Hermann (1960) [1952] (英語). Cosmology (2nd ed.). Cambridge University Press. p. 23. ISBN 978-0-521-04281-9 
  10. ^ a b Wesson, Valle & Stabell 1987, pp. 601–606.
  11. ^ ハリソン 2004, pp. 27, 259.
  12. ^ Wesson 1989, p. 11.
  13. ^ ハリソン 2004, p. 280.
  14. ^ Wesson 1989, p. 10.
  15. ^ 「最も遠い銀河の世界記録を更新」 - 宇宙史の暗黒時代をとらえ始めたすばる望遠鏡』(プレスリリース)すばる望遠鏡、2006年9月13日https://www.naoj.org/old/Pressrelease/2006/09/13/j_index.html2023年8月16日閲覧 
  16. ^ Wilkins, Stephen M.; Trentham, Neil; Hopkins, Andrew M. (2008-02-29). “The evolution of stellar mass and the implied star formation history” (英語). Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 385: 687-694. doi:10.1111/j.1365-2966.2008.12885.x. 
    Wilkins, Stephen M.; Trentham, Neil; Hopkins, Andrew M. (10 January 2008). "The Evolution of Stellar Mass and the Implied Star Formation History" (英語). arXiv:0801.1594
    z = 3 では恒星の質量密度は現在のおよそ 1/10 となる (Fig. 1)。
  17. ^ 野島俊雄「電車内の携帯電話電波は蓄積して心臓ペースメーカに強く影響するか? 閉空間電磁界問題とオルバースのパラドックス」『島田理化技報』第20巻、2008年、2-9頁、2023年8月16日閲覧 
  18. ^ ハリソン 2004, pp. 31–52.
  19. ^ ハリソン 2004, pp. 56–59.
  20. ^ Digges, Thomas (1576) (英語). A Perfit Description of the Cælstiall Orbes 
  21. ^ ハリソン 2004, pp. 352–343, Appendix One: Digges on the Infinity of the Universe.(注:原文献の再録).
  22. ^ ハリソン 2004, pp. 73–80.
  23. ^ ハリソン 2004, pp. 106–110.
  24. ^ ハリソン 2004, pp. 112–114.
  25. ^ Halley, Edmund (1721). “Of the Infinity of the Sphere of Fix'd Stars” (英語). Philosophical Transactions 31: 22-24. doi:10.1098/rstl.1720.0006. 
    Halley, Edmund (1721). “Of the Number, Order, and Light of the Fix'd Stars” (英語). Philosophical Transactions 31: 24-26. doi:10.1098/rstl.1720.0007. 
  26. ^ ハリソン 2004, pp. 342–337, Appendix Two: Halley on the Infinity of the Sphere of Stars.(注:原論文の再録).
  27. ^ ハリソン 2004, pp. 119–122.
  28. ^ Chéseaux, Jean-Phillippe Loys de (1744) “On the force of light and its propagation in the ether, and the distances to the fixed stars.”(注:原文献〈フランス語〉の英訳)
  29. ^ ハリソン 2004, pp. 336–333, Appendix Three: Chéseaux Explains the Riddle of Darkness.(注:原文献の再録).
  30. ^ ハリソン 2004, pp. 123–131, 133–134.
  31. ^ ハリソン 2004, pp. 135–141.
  32. ^ 原論文:Olbers, H. W. M. (1826). “Über die Durchsichtigkeit des Weltraums” (ドイツ語). Astronom. Jahrb.: 110-121. 
    英訳:“On the transparency of space” (英語). Edinburgh New Philosophical Journal 1: 141-150. (1826). 
  33. ^ ハリソン 2004, pp. 332–325, Appendix Four: Olbers Revives the Riddle of Darkness.(注:原論文の再録).
  34. ^ ハリソン 2004, p. 141.
  35. ^ ハリソン 2004, pp. 141–143.
  36. ^ ハリソン 2004, pp. 143–144.
  37. ^ ハリソン 2004, pp. 148–152.
  38. ^ ハリソン 2004, pp. 157–161.
  39. ^ ハリソン 2004, pp. 163–164.
  40. ^ ハリソン 2004, p. 174.
  41. ^ ハリソン 2004, pp. 179–184.
  42. ^ ハリソン 2004, p. 370.
  43. ^ ハリソン 2004, pp. 188–191.
  44. ^ ハリソン 2004, pp. 254–256.
  45. ^ ハリソン 2004, pp. 259–270.
  46. ^ ハリソン 2004, pp. 196–197.
  47. ^ ハリソン 2004, pp. 217–230.
  48. ^ Lord Kelvin (August 1901). “XII. On ether and gravitational matter through infinite space” (英語). Philosophical Magazine, Series 6 2: 161-177. doi:10.1080/14786440109462676. 
  49. ^ ハリソン 2004, pp. 324–321, Appendix Five: Kelvin on an Old and Celebrated Hypothesis.(注:原論文の再録).
  50. ^ ハリソン 2004, pp. 205–211.
  51. ^ Poe, Edgar Allan. “Eureka (Section 7), Eureka: A Prose Poem (1848)” (英語). The Edgar Allan Poe Society of Baltimore. 2023年8月16日閲覧。
  52. ^ ハリソン 2004, pp. 271–275.
  53. ^ a b ハリソン 2004, pp. 279–282, 355–354.
  54. ^ Wesson, Paul S. (February 1991). “Olbers's paradox and the spectral intensity of the extragalactic background light” (英語). Astrophysical Journal, Part 1 367: 399-406. doi:10.1086/169638. 
  55. ^ a b ハリソン 2004, pp. 125–130, 365–364.
  56. ^ ハリソン 2004, pp. 228–229.


「オルバースのパラドックス」の続きの解説一覧

オルバースのパラドックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 15:57 UTC 版)

パラドックス」の記事における「オルバースのパラドックス」の解説

宇宙一様かつ十分に大きければ一つ星の光は僅かでも総和として夜空太陽面のように明るく輝くはずだというパラドックスである。光の速度有限であり、また宇宙やその年齢夜空を星で埋め尽くすほどには大きくないため、前提成立しないことが明らかとなった

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オルバースのパラドックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/20 05:37 UTC 版)

ヴィルヘルム・オルバース」の記事における「オルバースのパラドックス」の解説

詳細は「オルバースのパラドックス」を参照 1823年オルバースは「宇宙空間透明度について」(Ueber die Durchsichtigkeit des Weltraumes) と題した論考発表し夜空暗く保たれているという誰もが知る事実が十分広大な宇宙において直ちには理論的説明つかない謎であることを示した。この謎の提示解決策は、早世したスイス天文学者ジャン=フィリップ・ロイス・ド・シェゾーがその79年前に定量的提示していたものとほぼ同じものであり、オルバース発案ではなかったが、現在一般にオルバースのパラドックスの名で知られている。 シェゾーのパラドックスに関する論考は、1743〜44年のクリンケンベルク=シェゾー彗星 (C/1743 X1) を報告した著作含まれる8つ付録1つ展開されていた。オルバース自身論考の中でシェゾーの先行する業績触れていないが、調査によると、オルバースはこの著作所有していただけでなく、その本編の彗星軌道決定まつわる部分丹念に分析していた。ガウスのそれをはじめとして他者優れた業績について一般には率直かつ公平な賛辞惜しまなかったオルバースが、シェゾーの業績について言及しなかった理由には議論がある。 シェゾーとオルバース提示したパラドックスは、宇宙十分に広くかつ十分に長期間星が輝き続けているとすると、夜空全体太陽面のようにまばゆい明るさを持たねばならないことを導く。実際にはそうなっていない理由両者はともに宇宙空間を進む間に起こる光の吸収求めていた。しかし宇宙空間満たしていると考えられていたエーテル存在せず、また他の星間物質よるものならば、これは熱平衡状態ではパラドックスの解決もたらせない。星の寿命注目しパラドックス必要な十分な放射変わりうる物質宇宙不足していることの最初定量的解釈は、20世紀初頭にケルヴィン与えた

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