熱放射の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 03:16 UTC 版)
「オルバースのパラドックス」の記事における「熱放射の問題」の解説
これらの時代、空が恒星に覆われたときの熱放射やエネルギー保存の問題はまだはっきりと認識されていなかった。 しかしパラドックスの推論が示すように地球のような天体があらゆる方向から恒星の表面温度に相当する放射を受ければ、天体は平衡状態に達するまでに少なくとも数千度の恒星の表面温度にまで熱せられることになる。 言い換えれば、宇宙がこのように暗いことは、地球が太陽の 6000 ℃ の放射光を受けながら、その熱を冷たい宇宙空間に捨てることでわれわれが生存可能な温度を保てていることを保証するものでもある。 このことは、シェゾーとオルバースがパラドックスの解答と考えた議論、すなわち宇宙が透明でなく塵のような星間物質が光を吸収するとした議論も無効にする。 光を吸収した星間物質は、やがて同様に数千度にまで加熱され、恒星と同じように輝き出すことになり、吸収は平衡状態までの時間的猶予をもたらすだけだからである。 こうした最初の指摘はジョン・ハーシェルが1848年に行っていた。 しかしこの議論が十分認められるまでには、宇宙における吸収と放射による平衡状態についての物理学的理解が深まるまでのおよそ1世紀の時間を要した。
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