エピトープの設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 21:07 UTC 版)
「ペプチドワクチン」の記事における「エピトープの設計」の解説
ペプチドワクチン全体は抗原のエピトープを模倣するものであるため、エピトープの設計はワクチン開発の最も重要な段階であり、目的の免疫原性タンパク質のアミノ酸配列に対する正確な理解が必要である。設計されたエピトープは、病原体に対して強力で長期間の免疫応答を起こすことが期待される。エピトープを設計する際に考慮すべき事項は次の通りである。 非優性エピトープは、優性エピトープよりも強い免疫応答を引き起こす可能性がある。例: 鉤虫に感染した人の抗体は、アメリカ鉤虫(英語版)(Necator americanus)APR-1タンパク質という抗原の優性エピトープを認識できるが、鉤虫に対する防御を誘導することができない。ただし、APR-1タンパク質上の他の非優性エピトープは、鉤虫に対する中和抗体の産生を誘導する能力を発揮する。したがって、非優性エピトープは鉤虫症に対するペプチドワクチンのより良い候補である。 過敏症を考慮に入れる。例: 一部のIgE誘導エピトープは、鉤虫の抗原であるNa-ASP-2タンパク質のIgGエピトープと重複するため、ヒトのワクチン接種後に過敏症反応を引き起こす。 一部の単鎖ペプチドエピトープは、ネイティブ構造を維持するために伸長する必要がある。伸長された配列は、適切な二次構造を含むことができる。また、適切なコンフォメーションを維持するために、いくつかの単鎖ペプチドを一緒に安定化または環化することができる。例: B細胞エピトープは5つのアミノ酸しか含んでいない可能性がある。免疫応答を誘導するために、酵母GCN4(英語版)タンパク質の配列を利用し、αヘリックスを形成することによってペプチドワクチンのコンフォメーションを改善する。 免疫応答を誘導するためにエピトープに関連したアジュバントを用いる。
※この「エピトープの設計」の解説は、「ペプチドワクチン」の解説の一部です。
「エピトープの設計」を含む「ペプチドワクチン」の記事については、「ペプチドワクチン」の概要を参照ください。
- エピトープの設計のページへのリンク