アメリカ・ロシア・中国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 14:53 UTC 版)
「アブドルファッターフ・アッ=シーシー」の記事における「アメリカ・ロシア・中国」の解説
シーシーは大統領就任以前からロシアのプーチン大統領と会談を重ねて信頼関係を構築しており、ソビエト連邦時代に軍事的協力関係にあったロシアから武器を購入、さらにロシア主導のユーラシア経済連合とエジプトのFTAに確約を取り付けた。ロシアにとっては、エジプトとの接近は2014年クリミア危機以降の国際的な孤立を打開するチャンスになると考えられている。 シーシーはエジプト最大の貿易相手国で冷戦時代から軍事的協力関係にもある中華人民共和国からも無人攻撃機の翼竜など武器を購入し、カイロのアラブ連盟本部で演説するためエジプトを訪れた習近平国家主席と会談して巨額の資金援助を取り付け、中国主導のアジアインフラ投資銀行に参加してその融資を受け、一帯一路構想への支持も一帯一路国際協力サミットフォーラム(英語版)で表明した。当初開発を担うはずだったアラブ首長国連邦のエマール・プロパティーズが撤退した新首都建設計画を担当した中国建築とはエジプトの議会と大統領府や政府庁舎の建設と融資を行う覚書を締結したものの価格面で折り合わずエジプトの地元企業が請け負うことになったが、新首都のランドマークであるアイコニックタワーが建つ中央業務地区は中国建築が建設しており、シーシー政権を積極的に支援する中国政府の要請に応えて多くのウイグル族を強制送還してることは国際問題となっている。国際連合人権理事会では日本などの22カ国が中国の再教育キャンプなど新疆ウイグル自治区での人権弾圧を共同書簡で非難した際に中国を擁護する共同書簡を公開したサウジアラビア、アラブ首長国連邦、スーダンなどの37カ国にエジプトも名を連ねた。 中国とロシアを中心とする上海協力機構に加盟申請し、エジプトは対話パートナーとしての参加を認められることとなった。ロシア海軍や中国人民解放軍海軍とは中露と初となる合同演習を行い、欧米日から懸念を招いたロシアの2015年モスクワ対独戦勝70周年記念パレード(英語版)と中国の2015年抗日戦勝記念式典のいずれにも出席し、後者ではエジプト軍を天安門広場で中国人民解放軍とともに行進させるなど中露を重視した外交を行っている。 一方、アメリカ合衆国大統領バラク・オバマと国務長官ジョン・ケリーはムバラク政権打倒を後押しし、当初はムルシー政権を倒したシーシー政権を冷遇したため、シーシーはアメリカに対して不信感を持っているとされる。しかし、アメリカはエジプトの軍事支援続行を決定しており、シーシーはアメリカとロシア双方を利用する外交を展開している。これにはムルシー政権を快く思っていなかったために米国に苛立っていたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相へのシーシー政権による米国説得要請があったとエジプト議会議員タウフィーク・オカーシャは述べている。
※この「アメリカ・ロシア・中国」の解説は、「アブドルファッターフ・アッ=シーシー」の解説の一部です。
「アメリカ・ロシア・中国」を含む「アブドルファッターフ・アッ=シーシー」の記事については、「アブドルファッターフ・アッ=シーシー」の概要を参照ください。
- アメリカ・ロシア・中国のページへのリンク