《話す》の敬語
「話す」の敬語表現
敬語は、丁寧語、謙譲語、尊敬語に分けられます。それぞれの場合の「話す」の敬語表現をご紹介します。まずは丁寧語の場合です。丁寧語はその名の通り、丁寧な表現をすることによって相手に敬意を表します。名詞に「お」や「ご」を付けたり、語尾に「です」、「ます」、「ございます」を付けるなどして丁寧な言い回しをします。ですので「話す」を敬語で表現する場合は、「お話します」、「〇〇についてのお話です」などと表現します。
次に謙譲語の場合です。謙譲語は、自分のことや自分のしている行為などをへりくだって表現することによって相手を高め、敬意を表します。「話す」の謙譲語は「申す」、「申し上げる」になります。「話す」の謙譲語での表現は、「弊社開催のセミナーについて、お知らせ申し上げます」などとなります。
最後に尊敬語の場合です。謙譲語では自分をへりくだることによって相手に敬意を表しましたが、尊敬語はそのまま相手を高める表現をすることによって敬意を表します。「話す」の尊敬語は「おっしゃる」です。会話中の相手とのやりとりの中で「今、〇〇様がおっしゃった工事の件ですが…」のように使います。尊敬語は敬意を表したい相手を直接高める表現ですので、その場にいない人に対しても使うことができます。「工事の件ですが、〇〇マンションの〇〇管理部長が延期したいとおっしゃっていました」などと表現できます。
「話す」の敬語の最上級の表現
「話す」の最上級の敬語表現とは何でしょうか。一概に「この言葉が最上級である」という決まりはありませんが、一般的には丁寧語よりも謙譲語または尊敬語の方が相手に対してより強く敬意を表しているとされています。ですので高い敬意を表したい時は、謙譲語または尊敬語を使用するのが良いでしょう。丁寧語は敬意を表す場合のみならず、使用するシーンや相手を選ばずに広く使用することができ、日常会話でも使われています。「話す」以外の言葉でも、丁寧語、謙譲語、尊敬語の違いをみてみます。例えば「知っている」の敬語表現は、「丁寧語→知っています」、「謙譲語→存じ上げる」、「尊敬語→ご存じ」となります。「見る」の敬語表現は、「丁寧語→見ます」、「謙譲語→拝見する」、「尊敬語→ご覧になる」です。いずれの場合も、丁寧語より謙譲語または尊敬語のほうがより強く敬意を表しているのが伝わります。
「話す」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスマンが取引先の相手に連絡をする場合を想定した、メールの例文をご紹介します。「〇〇株式会社
総務部〇〇様
お世話になっております。
日ごろは弊社製品をご愛用頂き、誠にありがとうございます。
お問合せ頂きました仕様変更の件についてですが、
資料が出来上がり次第、弊社技術部の佐藤からご連絡申し上げます。
つきましてはご多忙の折恐縮ですが、来週以降で都合の良い日時をご返信いただければ幸いです。
引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
署名」
続いて、交流会に参加したビジネスマンが、主催した会社の担当者にお礼の手紙を書く場合を想定した例文をご紹介します。
「〇〇株式会社
人事育成担当〇〇様
お世話になっております。
先日、貴社主催の交流会に参加させていただきました〇〇(氏名)です。
ディスカッションの際には参加者の皆様の貴重なお話を伺うことができ、充実した時間を過ごすことができました。
特に貴社の〇〇部長がおっしゃった「営業職としての心得について」のお話は大変参考になりました。
私も一層の努力をしてまいる所存でございます。
今後とも、ご指導、ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎ、御礼を申し上げたく、お便りいたしました。
ありがとうございました。
署名」
「話す」を上司に伝える際の敬語表現
「話す」を上司に対して伝える際は、謙譲語または尊敬語で「申し上げる」、「おっしゃる」と表現するのが良いでしょう。例文をご紹介します。「〇〇部長、勉強会の日程についてご報告申し上げます。」この場合は、話すのは部下である自分側ですので、自分に対してへりくだった言い回しをする謙譲語で表現しています。「先日〇〇部長がおっしゃった報告書ができあがりました。」この場合は、話したのは目上の人である部長です。その部長に対して「おっしゃった」と尊敬語を使って敬意を表しています。「話す」の敬語での誤用表現・注意事項
特に口頭での会話中は敬語の使用を間違えやすいので注意が必要です。例をご紹介します。「先日のミーティングで、御社の〇〇部長はこのように申し上げていました。」この場合は、相手先の部長に対してへりくだった表現をしてしまっています。正しくは、「先日のミーティングで、御社の〇〇部長はこのようにおっしゃっていました。」となります。「予算につきましては、弊社の鈴木課長がおっしゃったとおりです。」この場合は、自分の会社の人に対して高める表現を使ってしまっています。自分にとっては上司であっても、社外の人に対して自社の社員の話をする際には敬語表現は使いません。正しくは、「予算につきましては、弊社の鈴木課長が申し上げたとおりです。」となります。謙譲語と尊敬語は混同しやすいですが、あくまで謙譲語は自分に対してへりくだった表現します。一方で、尊敬語は直接相手を高める表現をしています。この違いを意識するようにして、誤った敬語表現にならないようにしましょう。
「話す」の敬語での言い換え表現
「話す」は、「伝える」と言い換えることができます。「伝える」の謙譲語は「お伝えする」、「申し伝える」で、尊敬語は「お伝えになる」です。「申し伝える」は、ビジネスシーンでよく使われます。社外の人から自分の上司である部長宛に電話が掛かってきたものの部長は留守である場合、「申し訳ございません。あいにく部長の田中は留守でございます。〇〇様(お客様)からお電話を頂戴した旨、申し伝えます。」のように使います。前述の通り、社外の人に自社の人の話をする際は、上司であってもへりくだった表現を使います。「話す」の敬語表現と同様に、謙譲語と尊敬語の使い分けに気をつけましょう。- 《話す》の敬語のページへのリンク