Direct Stream Digital
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/25 20:58 UTC 版)
DSDの記録方式
記録方式には以下の方法が存在している。DSD規格では以下のいずれかの方法が用いられている。そのため、SACDのソフトによっては、録音・記録方法が異なっている。
- DSDレコーディング
- オリジナルレコーディングからすべてDSD方式で録音されているマスターを使用。 DSD方式で音楽情報を余すことなく録音することで、 DSDの持つ高いサウンドクオリティをスーパーオーディオCDで再現することが可能。
- DSDミキシング
- アナログあるいはデジタルのマルチチャンネル・レコーダーから直接DSDにミックスダウンされたマスターを使用する方式。スーパーオーディオCDでは、ミキシングによって増大するダイナミックレンジやリミッタ処理によって発生する高調波などもそのまま収録することが可能となった。
- DSDマスタリング
- アナログあるいはデジタルのオリジナルマスターから、直接DSD方式でマスタリングしたマスターを使用。例えばハイビット・ハイサンプリングのマスターのサウンドも品質を損なわずにスーパーオーディオCDに収録可能。
DSDディスク
後述のDSFファイルをDVD±R、DVD±RWに記録するためのフォーマット。「Sound Reality」搭載のVAIOおよびKORGのPC用アプリケーションソフト「AudioGate」で作成することができるほか、音楽配信サイトからDSD音源を購入し、市販のライティングソフトでDVD±R、DVD±RWに記録して作成することもできる。
SACDとは完全に別物であるため、通常のSACDプレーヤーで再生することはできないが、ソニーのSCD-XA5400ESやSCD-XE800など一部のSACDプレーヤー、ティアックのPD-501HRなど一部のCDプレーヤー、SIEのプレイステーション3(SACD再生非対応モデルを含む)は再生に対応している。なおDSDディスクをVAIOで製作した場合、PCMへ変換出力するDirectShowプラグインが書き込まれているため、DSD対応機能「Sound Reality」搭載のVAIO以外のPCでも(PCMとしてではあるが)再生できる。
ファイルフォーマット
DSDには様々なファイルフォーマットが存在している。いずれにおいても互換性はない。
- DSDIFF (Direct Stream Digital Interchange File Format)
- 主に業務用に用いられており、DSDファイルフォーマットの中で最も使われている。PyramixやSonomaなどの業務用機器に対応製品が多い。民生用では、KORGのPC用アプリケーションソフト「AudioGate」か同社のレコーダー(MRシリーズ)、TASCAMのレコーダーなどで再生できる。
- DSF (DSD Stream File)
- ソニーが2005年秋モデルのVAIO向けに開発した民生用途向けファイルフォーマット。「Sound Reality」搭載のVAIOに付属しているソフトウェア「DSD Direct」を用いることによりWAVから変換でき、DSDディスク作成に用いられる。再生には「Sound Reality」搭載のVAIO、あるいはKORGのPC用アプリケーションソフト「AudioGate」か同社のMRシリーズで再生可能。
- WSD (Wideband Single-bit Data)
- 「1ビットオーディオコンソーシアム(早稲田大学とパイオニア、シャープ共同の推進グループ)」が策定したファイル・フォーマット。チャンネル数やサンプリング周波数に制限がなく、あらゆる形式のデータに対応できることを特長としている。仕様が公開されているのも特徴である。KORGのPC用アプリケーションソフト「AudioGate」か同社のMRシリーズで再生可能。
- ^ a b “音のなんでもコーナー Q and A | 日本音響学会”. acoustics.jp. 2021年12月2日閲覧。
- ^ 計算量が無限大に発散する点を除けば、理想的な性能のローパスフィルタはsinc関数のインパルス応答を入力信号に畳み込むことで実現できることが知られている。実際のアップサンプリング処理では有限の計算量しか許容できないため、sinc関数を参考にしつつ、トレードオフを考慮して様々な計算量省略のテクニックが用いられている。こうしたローパスフィルタによるアップサンプリング処理でナイキスト周波数以上のエイリアスノイズのみをより強力に除去する方法以外にも、入力信号のフォーマットの記録上限を超えた高域成分を倍音構成などから推測・復元しつつアップサンプリング処理を行う更に高度なアルゴリズムも開発されている。
- ^ CPUではリアルタイム処理が到底不可能な膨大なタップ数のフィルタアルゴリズムをFPGAでそのままハードウェア化した『CHORD DAVE』などが存在する。
- ^ “DAVE”. Chord Electronics Products (2011年11月1日). 2023年5月25日閲覧。
- ^ Foobar2000に向けてDSD変換機能(DSD Processor)を提供する追加コンポーネントが存在する。 多数の処理が直列に並ぶという変換アルゴリズムの構造上、処理並列化が難しく、特定のスレッドに処理が集中するため、高クロックのCPUが必要になる。 CPUでマルチコアをフル活用した場合と比較してシングルスレッドの処理能力には大きな制約があり、CPUによるリアルタイムDSD変換時のサンプル補間フィルタのタップ数は100程度が上限となる。
- ^ “Super Audio CD Decoder” (英語). SourceForge (2023年5月24日). 2023年5月25日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2016年7月11日). “【藤本健のDigital Audio Laboratory】 「アップサンプリング」で音は良くなる? 変わらない? 独自手法を提案する技術者に聞く”. AV Watch. 2023年5月29日閲覧。
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