127フィルム 127フィルムの概要

127フィルム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/26 23:38 UTC 版)

コダック127フィルムと同規格用スプール
他規格との大きさ比較。左から順に135フィルム127フィルム120フィルム
写真機にフィルムを装填したところ。黄色の部分が、フィルムに貼ってある裏紙である。

略歴・概要

ヴェスト・ポケット・コダック
ベストフィルム使用写真機「ベビーブローニー」(1934年 - 1941年)。

幅46 mmのロールフィルムであり、フィルムの裏には遮光用裏紙があって、「スタートマーク」および「コマナンバー」が印刷されている。

1912年、コダックがヴェスト・ポケット・コダック写真機とともに発表した[2]。新形式のロールフィルムを使用し、蛇腹で折りたたんで「チョッキのポケット」(ヴェスト・ポケット)に入るほどの小型化を図ったフォールディングカメラである同シリーズは、安価であったこともあり、1926年まで爆発的に数百万台を製造販売した[2]。同写真機は1901年10月に発売した箱型写真機No.2ブローニーと異なって平型であり、同機に始まる120フィルムよりも2 cm小さかった。同社は2年後の1914年5月に発売した「No.0ブローニー」に同フィルムを採用し「ヴェスト・ポケット・コダックのフィルム」の範疇を早くも逸脱し始める[2][3]

日本でも本規格を採用したカメラが製造された。例えばミノルタの最初の市販カメラは、1929年(昭和4年)4月に発売された4×6.5 cm判フォールディングカメラ「ニフカレッテ」であり[4][4]リコーの最初の市販カメラは、1934年(昭和9年)に発売された4×3 cm判の簡易型カメラ「オリンピックA型」であった[5]。コダックはブローニーラインの筐体をベークライト製にしてさらに簡易化、127フィルムを使用するベビーブローニーを同年7月に発売している[6]

映画用35mmフィルムを写真に流用した写真機「ライカ」が1925年には発売開始していたが、1934年にコダックが装填の際に暗室の要らないパトローネ入りの新規格「135フィルム」として、新型写真機「レチナ」とともに製造販売を開始、さらにフィルムサイズを小型化した[2]。このフィルムは1950年代以降、写真用フィルムのコンシューマ用スタンダードとして、ほかのサイズのロールフィルム、とりわけ127フィルムを駆逐していく[2]。その時代から1960年代にかけて、ドイツや日本では、ローライアグフア、ミノルタ、リコー、ヤシカなどの企業が127フィルムを使用するカメラを製造しつづけた[2]

1995年7月、コダックは83年間にわたって製造販売を続けた127フィルムを製造終了した。

2012年2月現在、クロアチアフォトケミカ・ノヴァ白黒リバーサルフィルムエフケR100/127」、ドイツのマコカラーネガフィルムローライナイトバード127」とカラーリバーサルフィルム「ローライクロスバード127」、カナダのブルーファイア・ラボラトリーズがカラーリバーサルフィルム「ブルーファイア・ムラノ160」をそれぞれ製造販売している[7][8]

おもなフィルム製品

カラーネガ127フィルム、ヨンヨン判写真機で撮影した正方形の写真。
  • エフケR100/127 - フォトケミカ・ノヴァ、白黒リバーサルフィルム、ISO100
  • エフケIR820/127 - フォトケミカ・ノヴァ、白黒リバーサル赤外線フィルム、ISO100
  • ローライナイトバード800/127 - マコ、レッドスケール英語版カラーネガフィルム、ISO800
  • ローライクロスバード200/127 - マコ、カラーリバーサルフィルム、ISO200
  • ローライレトロ80S/127 - マコ(アグフア・ゲバルト)、白黒ネガフィルム、ISO80
  • ブルーファイア・ムラノ160 - ブルーファイア・ラボラトリーズ、カラーリバーサルフィルム、ISO160
生産終了
  • ヴェリクロームパン/127 - コダック、白黒リバーサルフィルム
  • コダクローム/127 - コダック、カラーリバーサルフィルム
  • コダカラーX/127 - コダック、カラーネガフィルム
  • エクタクローム/127 - コダック、カラーリバーサルフィルム、1995年終了
  • イルフォードHP3/127 - イルフォード、白黒ネガフィルム
  • マコUP100 - マコ、白黒リバーサルフィルム、ISO100
  • マコカラーUCN200 - マコ、カラーネガフィルム、ISO200
  • ORWO NP20/127 - ORWO、白黒ネガフィルム、ISO20

  1. ^ カメラの画面サイズとフィルムシステムの変遷リコー、2012年2月21日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Requiem for a Great Format, デイヴィッド・シルヴァー、Photo Shopper 1996年3月11日発行、外部リンクを参照。
  3. ^ The GEH Brownie Collection p.1 (英語)(キャッシュ:インターネットアーカイブ、2011年6月14日付)、ジョージ・イーストマン・ハウス英語版、2012年2月22日閲覧。
  4. ^ a b 『ミノルタカメラのすべて』p.130
  5. ^ オリンピックA型、リコー、2012年2月21日閲覧。
  6. ^ The GEH Brownie Collection p.3 (英語)(キャッシュ:インターネットアーカイブ、2009年6月14日付)、ジョージ・イーストマン・ハウス、2012年2月22日閲覧。
  7. ^ Rollei Nightbird 127 (英語), マコ、2012年2月21日閲覧。
  8. ^ Bluefire Murano 160 (英語), ブルーファイア・ラボラトリーズ、2012年2月21日閲覧。
  9. ^ アサヒカメラ』「昭和10–40年広告にみる国産カメラの歴史」朝日新聞社、1994年 ISBN 4023303127, p.84。


「127フィルム」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「127フィルム」の関連用語

127フィルムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



127フィルムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの127フィルム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS