黒電話 現状

黒電話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/29 17:09 UTC 版)

現状

一般電話網民営化と端末設備自由化

1985年(昭和60年)、日本電信電話公社は日本電信電話株式会社 (NTT) へと民営化された。第二電電株式会社(DDI、現 : KDDI)をはじめとする「新電電」の参入が可能となった。

これにより、電気通信端末機器審査協会技術基準適合認定を受けたものかこれと同等とみなされた電話端末機器であれば自由に公衆交換電話網モジュラージャックで接続できることとなった。電話機は電気通信事業者からレンタルすることから家電店などで購入する商品へ変化した。

21世紀に入り、電話機はコードレスホン化が進み、留守番電話ファクシミリと一体となった多機能電話が主流となった。さらに、電話機の主役そのものがこれら固定電話から携帯電話など移動体通信に移行した。1970年代まで日本の家庭を席巻した「黒電話」は端末設備自由化後、急速に姿を消した。

黒電話を使えない・知らない世代

上述のように1980 - 90年代に電話を取り巻く事情が大きく変化したため、2020年代には黒電話の使用方法がわからない人も増えてきた。ときに一種のジェネレーションギャップに関する話題として「平成生まれは黒電話の使い方がわからない」という類の話が出ることもあり、

  • フジニュースネットワークの番組街頭インタビューのなかで「平成生まれに黒電話を使ってもらう」という企画を行ったところ、使い方がわからず困惑する様子が映し出された[4]
  • 北海道新聞』が「これが何のマークか分からない人が増えた」として黒電話のアイコン(後述)の使用を廃止した[5]
  • 『毎日新聞』の取材に対しNTT技術史料館の担当者が「NTTの新入社員でも使い方を知らない人がいます」と答えた[6]

などといった事態が生じている。

電話回線給電のみで使用できる電話機

1993年(平成5年)には、ダイヤルパルス・トーン兼用の900-P形標準電話機が提供開始された。局給電のみで動作するため、黒電話の後継として、応急復旧用資機材として備蓄され、大規模災害の際の臨時無料公衆電話として使用されるようになった。被災者が電話回線を復旧する際に再生品の900-P形が無償提供されることもある[7]

災害対策として、局給電のある電話回線と電話回線給電のみで使用できる電話機の組み合わせが有用であると、長時間の停電が起こるたびに再認識される[8]

IP電話用の終端装置も、ダイヤル電話機に対応したものがほとんどであり、例えば光回線ADSLのモデム設定をパルスに設定すれば、ブロードバンド回線にも接続することができる。着信専用としてなら、プッシュ回線やトーン信号専用のIP電話終端装置にも使用できる。共電式を着信専用として使用することもできる[9]

一部には「黒電話は使えなくなる」などというセールストークで、多機能電話機を高額な値段で販売・リースする悪徳商法もあり、消費生活センター警察などが注意を呼びかけている[10]

電話機の象徴としての黒電話

電話番号のマークが「黒電話」の形を模している。携帯電話の通話ボタンも同様の意匠があしらわれているものがある。着信メロディにわざわざ「黒電話」のベル鳴動音が提供されていることなど、「電話」としてのイメージもまだ生き続けていると言える。

黒電話の凋落を招いた端末自由化だったが、その一方で、黒電話機をNTTから「買い取る」ことも可能になった。このため、NTTから個人に売却された黒電話は相当な数になった。レンタル提供することを目的とした、高耐久設計であったため、601形・600形あるいは4号や3号電話機は、2010年代にも稼動機がオークションなどで流通している。ダイヤル式の場合、電子部品が受動素子だけであり、機構部品も単純なため、ある程度の修理が可能である。

北海道から沖縄までの四季に対応した環境試験が行われたため、高温多湿・寒冷・結露などにも耐久性がある。




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