魔女の宅急便
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シリーズ1作目『魔女の宅急便』は、主人公のキキが親元を離れ、知らない町で魔女として一人立ちする姿を描く。オリジナルは1982年から1983年にかけて『母の友』に連載された。その後シリーズ化されており、福音館書店から刊行されている。表紙画、挿画は第1巻が林明子、第2巻が広野多可子、第3 - 6巻は佐竹美保がそれぞれ手がけた。英語、イタリア語、中国語、スウェーデン語版も出版されている。2009年10月、最終巻『魔女の宅急便その6 それぞれの旅立ち』が刊行され、24年に亘って描かれた同シリーズは完結した[2]。その後『魔女の宅急便特別編』として3冊が刊行されている[3]。
あらすじ
- 魔女の宅急便(第1巻)
- 主人公である魔女の少女キキは、13歳になったら魔女の修行のためよその町に移り住み独り立ちするというしきたりに従い、満月の夜、相棒の黒猫ジジと共に、新たな街を探して旅立った。
- 紆余曲折を経て、定住先に決めたコリコの町のパン屋「グーチョキパン店」のおかみ・おソノさんに気に入られ、彼女の厚意でパン屋に居候させてもらったキキは、唯一のとりえである空飛ぶ魔法を活かして空飛ぶ宅急便屋を開業する。次々に舞い込むお届け物の仕事や飛行クラブの少年とんぼとの出会いなどの様々な出来事を経験していき、やがて1年目の里帰りを迎える。
- 魔女の宅急便 <その2>キキと新しい魔法(第2巻)
- コリコの町での暮らしも2年目を迎え、キキは町の人々たちともすっかり打ち解けるようになった。そんな中、キキは魔女として生きることを止めるか否かを思い悩むほどの重大な問題に直面する。
- 魔女の宅急便 <その3>もうひとりの魔女(第3巻)
- コリコの町での暮らしも3年目となり、16歳となったキキの元に、ケケと名乗る12歳の謎の魔女が転がり込む。ケケに振り回され時に傷つきながらも成長していくキキを通じ、2人の少女の自立の過程が描かれる。
- 魔女の宅急便 <その4>キキの恋(第4巻)
- 17歳になり、とんぼのことを異性として意識し始めたキキの恋模様が描かれる。
- 魔女の宅急便 <その5>魔法のとまり木(第5巻)
- 遠距離恋愛ゆえのとんぼとのすれ違いや魔法の力の低下、ジジとの意思疎通の不能など、19歳の大人となったキキに様々試練が訪れる。
- 魔女の宅急便 <その6>それぞれの旅立ち(第6巻)
- 第5巻の物語から13年後、キキはとんぼと結婚し二児の母親となっていた。
- キキの子供である双子の姉弟の姉ニニは魔女の血を受け継ぎながらも魔女になることに興味はなく、反対に双子の弟トトはそもそもなれやしない魔女に興味津々で男の子だから魔女にはなれないという現実が不満でならない。そんな葛藤や悩みを抱えつつ13歳を迎えた2人の子供たちと我が子を見守るキキ、そしてコリコの町の人々。それぞれの成長と旅立ちを描く完結編。
- 魔女の宅急便 特別編 キキに出会った人びと
- グーチョキパン店のおソノさんの幼少時代からキキとの出会いまでを始め、コリコの町を彩った多彩なわき役たちや名もないコリコの住人たちをメインに据えて語られるサイドストーリー集。
- 魔女の宅急便 特別編 その2 キキとジジ
- 赤ちゃん時代から魔女になることを決意する10歳までのキキと黒猫ジジとの関わりを描く。
- 魔女の宅急便 特別編 その3 ケケと半分魔女
- 本編第3巻に登場したケケが大人になって書いた「半分魔女―もうひとつのものがたり」という物語。4歳のときに母を亡くした少女タタは、母の遺した「おわりのとびら」という本を屋根裏部屋で見つけ「半分を探す旅」に出る。
登場人物
- キキ
- 本作の主人公。魔女と普通の人間の間に生まれた少女。10歳を過ぎた頃に魔女として生きることを決意したため、しきたりに則って13歳の春の満月の夜、魔女の住んでいない町で独り立ちすべく相棒の黒猫ジジと共に旅立った。最初に着いたコリコの町で人々のキキに対する反応が冷たいことに戸惑うが、ふとしたきっかけから定住を決める。その後グーチョキパン屋というパン屋に居候し、粉置き場を改装して「魔女の宅急便」を開業。様々な出来事を経験しながら魔女として、1人の少女として成長していく。
- 2月2日生まれ。15歳までは飛ぶことしかできなかったが、母コキリに習ってくしゃみの薬も作れるようになる。
- ジジ
- キキの相棒の黒猫。キキと同じ時期に生まれた[注 1]。キキの魔法で会話しているが、キキ以外の人間とは会話できない。キキの魔法力が弱まると会話ができなくなる[注 2]。
- オキノ
- キキの父親。普通の人間で、民俗学者。妖精や魔女の伝説や民話について研究している。
- コキリ
- キキの母親。古い血筋の魔女。ほうきに乗って空を飛ぶことの他に「くしゃみの薬」[注 3]を作る魔法を受け継いでいる。
- おソノ
- グーチョキパン屋のおかみさん。コリコの町に着いたばかりで泊まる所もなく、1人途方に暮れていたキキをパン屋に居候させる。キキが来た直後にノノちゃんという女の赤ちゃんを出産する。
- おソノさんのだんなさん
- パン職人。無口。フクオという名前だが、名前は4巻まで出てこない。
- トンボ
- 飛行クラブに所属するメガネの少年。キキより1歳年上で、「トンボさん」と呼ばれている。飛行クラブはじゅうたんや箒など非科学的な物で飛ぶ方法を研究していたが、これらの研究が失敗に終わったため[注 4]、15歳の夏に科学的なハンググライダー飛行を行ったのを最後に、物理学から生物学に転向し、17歳の秋から21歳の春までの3年半、コリコの西のナルナの技術学校[注 5]で生物学を専攻し、卒業後はコリコに戻り中学校の生物教師となる。5巻と6巻の間でキキと結婚し、ニニとトトという双子が生まれる。
- ニニとトト
- キキととんぼの間に生まれた双子の姉弟で、6巻の主人公。12月28日生まれ。
- ニニは明るくお転婆な性格だが、トトは物静かな性格。
- ニニの相棒の猫はブブ、トトの相棒の猫はベベ。
注釈
- ^ 第1巻10 - 11頁参照。なおキキの誕生日は2月2日であることが第5巻249頁で明らかになっている。
- ^ 第5巻第6-8章で実際に発生している。
- ^ 化学的に考えると、くしゃみを誘発するジフェニルクロロアルシン、ジフェニルシアンアルシンなどのいわゆる「くしゃみガス」の解毒剤と考えてもよい。
- ^ 第1巻114頁でキキがとんぼさんにこれら研究が絶対に成功しないことを裏付けるセリフを残している。
- ^ 第3巻313頁に進学先が、第4巻25・183頁に都市名とコリコからの方角が記載されている。
- ^ 角野は「タイトルと名前」そして「世界を変えないで下さい」と伝えていたものの、「(映画は)お話の筋がちょっと違うのでびっくりしました。私はもう少し可愛いラブストーリーになるかと思ってたんです」と述べ、「映画を見てから原作を読む方が凄く多くて、それはそれで良かったと思います」と振り返っている。-『週刊朝日』2019年7月19日号[5]
- ^ 金沢星稜大学 平成19年度11月2日開催、人間科学会発足記念講演会 角野栄子先生「魔法はひとつ」にて。[30]
出典
- ^ “「魔女の宅急便」初の実写映画化 ヒロインは武井咲“妹”の小芝風花”. スポーツニッポン. (2013年4月24日) 2013年5月9日閲覧。
- ^ 角野栄子ホームページ 魔女の宅急便コーナー
- ^ 福音館書店 みんなの人気者「魔女の宅急便」コーナー
- ^ 叶精二『宮崎駿全書』フィルムアート社、2006年
- ^ 構成・本誌:松岡かすみ / インタビュー:林真理子 (2019年7月13日). “『魔女の宅急便』角野栄子さんがジブリ版を見て思ったこととは〈週刊朝日〉”. AERA dot.. 株式会社朝日新聞出版. p. 1. 2022年10月23日閲覧。
- ^ “スタジオジブリ「魔女の宅急便」が舞台に 今冬ロンドンで公演”. 映画.com. (2016年8月29日) 2016年8月30日閲覧。
- ^ “上白石萌歌主演でミュージカル『魔女の宅急便』 「一緒に成長していけたら」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2017年2月10日) 2017年2月10日閲覧。
- ^ “「魔女の宅急便」6月に上演決定、キキ役は福本莉子・トンボ役に大西流星”. ステージナタリー (ナターシャ). (2018年3月31日) 2018年3月31日閲覧。
- ^ “3度目のミュージカル「魔女の宅急便」井上音生がキキ、那須雄登がトンボに”. ステージナタリー. 2021年1月16日閲覧。
- ^ a b c d e “Majo no takkyûbin (JA) [Original title]”. LUMIERE(リュミエール・データベース). 欧州オーディオビジュアル・オブザーバトリー. 2020年6月3日閲覧。
- ^ a b “Kiki's Delivery Service (2014)”. IMDb(Company Credits). Amazon.com. 2020年6月3日閲覧。
- ^ a b c d e “Kiki's Delivery Service (2014)”. IMDb(Release Info). Amazon.com. 2020年6月3日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』2015年3月下旬 映画業界決算特別号、92頁。
- ^ a b 福田麗 (2013年5月8日). “実写版「魔女宅」キキ・小芝風花、批判に心境吐露…「悲しい気持ちになる事を書かれた」”. シネマトゥデイ. 2013年6月10日閲覧。
- ^ a b c d e f “実写『魔女の宅急便』おソノ役は尾野真千子 清水崇監督はオリジナル世界観に自信”. オリコン (2013年6月10日). 2013年6月10日閲覧。
- ^ “実写『魔女の宅急便』ジジ役は「けいおん」声優・寿美菜子!”. シネマトゥデイ (2014年1月16日). 2014年10月29日閲覧。
- ^ a b 福田麗 (2013年4月11日). “『魔女の宅急便』実写化のうわさ…ジブリは否定”. シネマトゥデイ. 2013年6月10日閲覧。
- ^ a b 朝倉健人 (2013年4月24日). “実写映画版「魔女の宅急便」ヒロイン小芝風花、みなさんが想像する「キキ」とは違う…と展望明かす”. シネマトゥデイ. 2013年6月10日閲覧。
- ^ a b 市川遥 (2013年6月10日). “実写版『魔女の宅急便』おソノ役は尾野真千子!小豆島でロケ”. シネマトゥデイ. 2013年6月10日閲覧。
- ^ “清水崇監督、無謀と承知で『魔女の宅急便』にトライ!「なぜ、監督が俺?」” (日本語). MOVIE WALKER PRESS (2014年2月28日). 2022年11月5日閲覧。
- ^ a b c 市川遥 (2013年5月31日). “実写版『魔女の宅急便』キキのビジュアル公開!”. シネマトゥデイ. 2013年6月10日閲覧。
- ^ この段落の出典。壬生智裕 (2014年3月4日). “『ホビット』2014年洋画初のナンバーワン獲得!【映画週末興行成績】”. シネマトゥデイ. 2014年3月4日閲覧。
- ^ “実写版「魔女の宅急便」海外配給が決定 主演・小芝風花は感激の涙”. 映画.com (2014年3月1日). 2014年3月1日閲覧。
- ^ “第57回ブルーリボン賞が決定!佐々木蔵之介『超高速!参勤交代』が作品賞!”. シネマトゥデイ (2015年1月23日). 2015年1月23日閲覧。
- ^ “綾野剛、菅田将暉、小芝風花ら豪華集結「第24回日本映画批評家大賞」”. モデルプレス (2015年5月28日). 2016年3月20日閲覧。
- ^ 『魔女の宅急便』キキが17歳女子校生に とんぼとの“恋の行方”をアニメCMとして放送,ORICON NEWS,2017年6月19日
- ^ 藤本昇特許事務所
- ^ 登録番号 第1377677号
- ^ 登録番号 第2462634号
- ^ “人間科学会発足記念講演会 角野栄子先生「魔法はひとつ」(人間科学研究 創刊号) (PDF)”. 金沢星稜大学. p. 3 (2008年3月). 2022年10月23日閲覧。
- 1 魔女の宅急便とは
- 2 魔女の宅急便の概要
- 3 書誌情報
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- 5 アニメCM
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