非致死性兵器 非致死性兵器の概要

非致死性兵器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 00:30 UTC 版)

催涙スプレーのデモンストレーション

概要

暴動鎮圧などで警察軍隊が民間人に対して発砲して殺傷することが社会問題化し、殺傷せず鎮圧する方法が求められて考案された。重大な後遺症を生じない非致死や致傷性のものは、警備会社や民間人が自衛手段に用いる場合がある。

非致死性兵器による死傷事故も報告され、1980年代に南アフリカの反アパルトヘイト闘争で起きた暴動で、ゴム弾が至近距離で発射された場合に死傷者が発生した。日本で、安保闘争三里塚闘争で発射された催涙弾の直撃を受けた者が死傷する東山事件があった。1990年代から広く利用されて後遺症が残らないとされるスタンガンも死亡事故は発生し、2007年に空港で暴れた男性が警備員にテイザー銃(電極発射式のスタンガン)で撃たれて死亡した[1]

モスクワ劇場占拠事件で使用されて人質129名が窒息死したKOLOKOL-1無力化ガスと称していたが、実際に使用しないと人体の反応が判然としない物質もあり、使用実績のある催涙ガスも、嘔吐物が気道を閉塞して窒息する危険性も指摘される[2]

軍事評論家の江畑謙介は、死に至らしめる可能性が完全に排除された字義通りの非致死性兵器はほぼ存在しない、と1995年に述べる[2]

アメリカ合衆国の警察組織は、非致死性 (non-lethal) ではなく、低致死性 (less-lethal) の語を用いている[3]

2018年ジュネーブで、法執行機関の低致死性兵器使用で死傷者を生じないためのガイドライン『2018 Geneva Guidelines on Less-Lethal Weapons and Related Equipment in Law Enforcement』が定められた[4][5]

種類

[6][7]

  • スカンク (兵器)
  • 関連項目

    外部リンク


    1. ^ “一瞬のすれ違いで生じた悲劇、ポーランド人移民がカナダ警察に撃たれ死亡”. AFPBB. https://www.afpbb.com/articles/-/2312847?pid=2361553 2016年8月8日閲覧。 
    2. ^ a b 江畑謙介 (1995). 殺さない兵器―新しい時代の新しい兵器. 光文社 
    3. ^ McNab, Chris (2009). Deadly Force: Firearms and American Law Enforcement, from the Wild West to the Streets of Today. Osprey Publishing. p. 229. ISBN 9781846033766 
    4. ^ katharina.kiener-manu. “Crime Prevention & Criminal Justice Module 4 Key Issues: 5- The Use of “Less-Lethal” Weapons” (英語). www.unodc.org. 2023年2月23日閲覧。
    5. ^ 2018 Geneva Guidelines on Less-Lethal Weapons and Related Equipment in Law Enforcement 作成日:1 October 2018 サイト:Geneva Academy of International Humanitarian Law and Human Rights英語版
    6. ^ 映像 - YouTube
    7. ^ 映像 - YouTube


    「非致死性兵器」の続きの解説一覧




    非致死性兵器と同じ種類の言葉


    英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
    英語⇒日本語日本語⇒英語
      

    辞書ショートカット

    すべての辞書の索引

    「非致死性兵器」の関連用語

    非致死性兵器のお隣キーワード
    検索ランキング

       

    英語⇒日本語
    日本語⇒英語
       



    非致死性兵器のページの著作権
    Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

       
    ウィキペディアウィキペディア
    All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
    この記事は、ウィキペディアの非致死性兵器 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

    ©2024 GRAS Group, Inc.RSS