静岡県立大学大学院食品栄養環境科学研究院附属茶学総合研究センター 沿革

静岡県立大学大学院食品栄養環境科学研究院附属茶学総合研究センター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/21 05:50 UTC 版)

沿革

やぶきた」の原個体(2014年5月24日)。静岡県立大学のあるムセイオン静岡に保存されている[14]静岡県指定天然記念物[15]
茶草場農法を用いた静岡県茶畑(2007年4月下旬)。静岡県立大学が立地する静岡県にはチャノキの多様な栽培法が存在する

静岡県により設置・運営される静岡薬科大学静岡女子大学静岡女子短期大学が統合され、1987年(昭和62年)に静岡県立大学が発足した。静岡県により設置・運営される公立大学として[† 1]、地元の重要産品である緑茶に関する研究も盛んに行われるようになった。全学的にも地元の重要産品を重視する姿勢を示しており、静岡県立大学の大学旗は蜜柑と緑茶にちなんで橙色と黄緑色のカラーリングが採用されている。また、静岡薬科大学のキャンパスには、さまざまな品種チャノキが植えられていた[16]。それを引き継いだ静岡県立大学においても、薬学部に附置される附属薬草園にてチャノキが育成されている[17]。また、静岡県立大学のあるムセイオン静岡には「やぶきた種母樹」が保存されているが[14]、これは日本全国に爆発的に普及したチャノキの品種である「やぶきた」の原木である[14]

その後、2013年(平成25年)になると静岡県立大学に「茶学総合講座」が開設された[8]。茶に関する総合講座が大学に開設されるのは、日本の歴史上初めてのことであった[4]。これにより、従来は部局ごとに実施されていた茶に関する研究の情報が一元化され[4]、茶の栽培加工[4]、機能性[4]、販売[4]、経営手法まで[4]、総合的に講じられるようになった[4]。静岡県に立地している他の大学や研究機関と積極的に連携するともに[4]、行政機関や茶業団体とも連携を図ることで[4]、茶業の振興を目指していた[4]

さらに、茶学総合講座は発展的に解消され[8]、新たな研究施設として2014年(平成26年)4月1日に附属茶学総合研究センターが大学院の食品栄養環境科学研究院の下に設置された[5]。初代センター長には、「山の息吹」[18]、「つゆひかり」[18]、「香駿」[18]、「ゆめするが」[18]、「おくひかり」[18]、「さわみずか」[18]、などのチャノキの新品種を次々開発した中村順行が就任した[19]

なお、静岡県立大学では、地域について学ぶ全学共通科目群として「しずおか学」を設けている[20]。これらは文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」への採択にともない新たに設けられた科目群である。2015年度(平成27年度)より選択必修科目として2単位以上の習得を求められることになったが[21]、そのうちの一科目として「茶学入門」が開講されている[22]


註釈

  1. ^ 静岡県立大学は、2007年に静岡県から静岡県公立大学法人に移管された。

出典

  1. ^ a b c d 静岡県立大学大学院学則第4条。
  2. ^ a b c 「所在地」『交通アクセス | 大学案内 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学静岡県立大学
  3. ^ a b c d e 「メンバー」『センターの紹介 | 静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センター静岡県立大学食品栄養環境科学研究院茶学総合研究センター
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai 「研究内容」『センターの紹介 | 静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センター静岡県立大学食品栄養環境科学研究院茶学総合研究センター
  5. ^ a b c d e f g h 「『食品環境研究センター』と『茶学総合研究センター』が開設されました」『静岡県立大学食品栄養科学部・食品栄養科学専攻同窓会会報』17号、創星会、2015年1月1日。(頁番号未記載。)
  6. ^ a b 「茶の生産日本一」『静岡県/茶の生産日本一静岡県庁、2021年9月22日。
  7. ^ a b c 「学部・研究科附属機関」『附属機関 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学静岡県立大学
  8. ^ a b c d e f g 「茶学総合研究センター」『茶学総合研究センター | 附属機関 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学静岡県立大学
  9. ^ 静岡県立大学生態・環境分野の「週刊朝日進学MOOK2008年度版大学ランキング」ISI・論文引用度指数で静岡県立大学が3位にランキングされました』2007年9月7日。
  10. ^ 『大学ランキング』朝日新聞出版、224頁。
  11. ^ 『大学ランキング』朝日新聞出版、223頁。
  12. ^ 佐伯順子「京都と茶文化研究センター(学際的研究拠点)」『研究センター一覧|学術的研究拠点・中心的研究拠点|研究開発推進機構|同志社大学 研究・産官学連携同志社大学研究開発推進機構
  13. ^ 同志社大学京都と茶文化研究センター「センターからのメッセージ」『センター概要|同志社大学 京都と茶文化研究センター同志社大学京都と茶文化研究センター
  14. ^ a b c 高木桂蔵「谷田風土記」『はばたき』88巻、静岡県立大学広報委員会、2003年12月19日、21頁。(「volume 88」と記載あり。)
  15. ^ 「茶樹(やぶきた種母樹)」『静岡県/しずおか文化財ナビ 茶樹(やぶきた種母樹)静岡県庁、2022年8月31日。
  16. ^ 林栄一「静岡薬科大学図書館」『薬学図書館』20巻2号、日本薬学図書館協議会、1975年11月5日、118頁。
  17. ^ 尾池和夫「チャノキ(茶の木)と茶」『薬草園歳時記(16)チャノキ(茶の木)と茶 2022年4月 | 大学案内 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学静岡県立大学、2022年4月。
  18. ^ a b c d e f 「本学特任教授が平成25年度杉山彦三郎賞を受賞」『本学特任教授が平成25年度杉山彦三郎賞を受賞:静岡県公立大学法人 静岡県立大学』静岡県立大学。
  19. ^ 「教員人事、新規客員教授、名誉教授の紹介」『はばたき』126号、静岡県立大学広報委員会、2014年6月1日、18頁。(「number 126」と記載あり。)
  20. ^ 「地域を学んで未来を創る――地域からグローバルへ――しずおか学」『静岡県立大学 Guide Book』2023年版、静岡県立大学、9頁。
  21. ^ 「PICK UP しずおか学」『静岡県立大学 Guide Book』2023年版、静岡県立大学、8頁。
  22. ^ 「茶学入門」『静岡県立大学 Guide Book』2023年版、静岡県立大学、9頁。
  23. ^ a b c d e f 「研究の柱」『センターの紹介 | 静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センター静岡県立大学食品栄養環境科学研究院茶学総合研究センター
  24. ^ Keisuke Ito et al., "Bitterness-masking peptides for epigallocatechin gallate identified through peptide array analysis", Food Science and Technology Research, Vol.27, No.2, Japanese Society for Food Science and Technology, 2021, pp.221-228.
  25. ^ a b 「Food Sci. Technol. Res.誌の論文賞を受賞」『Food Sci. Technol. Res.誌の論文賞を受賞 | ニュース | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学静岡県立大学、2022年8月29日。
  26. ^ a b 「緑茶は日本茶ではない?」『お茶のある生活(中) 緑茶は日本茶ではない?|あなたの静岡新聞静岡新聞社、2015年6月5日。
  27. ^ 「静岡県立大学の歩み」『沿革 | 大学案内 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学静岡県立大学
  28. ^ Hirokazu Kobayashi「小林裕和」『Laboratory of Plant Molecular Improvement』グリーン・インサイト、2021年10月10日。
  29. ^ 「メンバー」『研究内容 | 静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センター』静岡県立大学食品栄養環境科学研究院茶学総合研究センター。(2021年7月27日時点でのアーカイブ。)
  30. ^ 高橋晴美「香りでリラックス、ダイエット効果も――烏龍茶の飲み方」『香りでリラックス、ダイエット効果も 烏龍茶の飲み方|NIKKEI STYLE日本経済新聞社日経BP、 2017年4月5日。
  31. ^ 「未来を模索するお茶業界…『世界でいちばん濃い』ジェラートや1本1万9800円の超高級ボトリングティー――新しい楽しみ方に活路――静岡」『【完全版】未来を模索するお茶業界…「世界でいちばん濃い」ジェラートや1本1万9800円の超高級ボトリングティー 新しい楽しみ方に活路 静岡 - LOOK 静岡朝日テレビ静岡朝日テレビ、2022年4月24日。





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