選好
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 04:01 UTC 版)
顕示選好
ある経済主体の選好関係についてのは「この経済主体にとってはと同等以上に好ましい」ことを意味する。しかし、この経済主体が2つの選択肢についてどのような主観的な評価をしているのかは直接観察することが出来ない。そこで、経済学では直接観察することが可能な実際の行動を通じて経済主体の選好を推定する。例えば、ある学生が口では「漫画よりも文学書が好きだ」と言う一方で文学書を読まずに漫画ばかり読んでいたとしたら、彼の選好について「漫画文学書」が成り立つと考えるのである。このような考え方は顕示選好理論(英: revealed preference theory)と呼ばれる[10]。
注釈
- ^ アマルティア・セン (1998年ノーベル賞受賞) は選好を「選択に内在する二項関係」と呼んでいる[1]。
- ^ ミクロ経済学の分析対象である意思決定の単位は一般的な意味での個人だけでなく、家計、企業、政党、国家など多岐にわたるため[6]、本記事ではそうした意思決定の単位を総称して「経済主体(英: econimic agent)」と呼ぶ。
- ^ 吉原 2008はマルクス経済学的な概念である「搾取」をミクロ経済学的に分析している。
- ^ 伊藤 2012, pp. 6–7。伊藤 2012は選好や効用といったミクロ経済学的アプローチが経営学に限らず幅広い分野で応用されていることを強調している。
- ^ ミクロ経済学的手法によって会計制度を分析した研究として田口 2015がある。
- ^ 小西 2009が財政学・政治学・行政学などにミクロ経済学的手法を応用した研究を紹介している。
- ^ ミクロ経済学的手法によって差別、家族、司法、自殺などの社会問題を分析する研究で知られるゲーリー・ベッカーの業績や影響については猪木 1994で説明されている。
- ^ これに対してなどの記号で表される通常の選好関係は「弱い意味での選好関係(英: weak preference relation)」と呼ばれることがある[11]。ただし、本記事ではを単に「選好関係」とする。
- ^ 選好関係は反対称性(英: antisymmetric)を満たさないため、全順序(英: total order)ではない。
出典
- ^ セン 2000.
- ^ a b c 奥野 2008, p. 25.
- ^ 浦井 & 吉町 2012, pp. 93–94.
- ^ 奥野 & 鈴村 1985, p. 142.
- ^ a b c 神取 2014, p. 11.
- ^ 伊藤 2012.
- ^ 浦井 & 吉町 2012, p. 323.
- ^ a b 浦井 & 吉町 2012, p. 98.
- ^ 神取 2002.
- ^ 神取 2014, pp. 16–17.
- ^ a b c d 奥野 & 鈴村 1985, pp. 142–143.
- ^ a b 神取 2014, pp. 12–13.
- ^ a b 浦井 & 吉町 2012, pp. 94–95.
- ^ 奥野 & 鈴村 1985, p. 145.
- ^ 鈴木 1999, p. 59.
- ^ 神取 2014, p. 14.
- ^ 奥野 2008, p. 38.
- ^ 神取 2014, p. 13.
- ^ 神取 2014, pp. 12–15.
- ^ 奥野 & 鈴村, p. 152.
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