超心理学 仮説群

超心理学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 04:03 UTC 版)

仮説群

超心理学では、いわゆる「心霊現象」や臨死体験などの理解のしかたに関して、いくつかの仮説がある。

超ESP仮説では「死後生や霊魂の存在の証拠とされる心霊現象も、ESPや超能力によるものだと見なすことで、霊魂を想定しなくても説明可能になる」とする[31]。これと対立するサバイバル仮説では「肉体の死後も何らかの存在が存続し続けていてそれが様々な超常現象を引き起こしている」とする。

懐疑的な見解と活動

ロバート・キャロル

ロバート・キャロルは『懐疑論者の辞典』(査読を欠いた、ロバート・キャロルによる個人的な本・サイト)において「審読制のある超心理学の専門誌も少なくとも6誌ある。しかし、この研究分野の特徴は詐欺や欺瞞である。きちんと比較実験を立案して、統計データを解析する能力にも欠けている。」[32]と述べた[33]。また、「スーザン・ブラックモアのように、何年たっても超常現象の有意に支持する結果が見つからず、研究をあきらめてしまった超心理学者もいる」と書いた[32]。 また肯定的結果を得たと主張する超心理学者が、サイの存在を支持しない研究結果をわざと無視して自分の研究結果を正当化してしまうことも多い、とし、ラインも自分の信念を支持しないデータは理由を付けて捨てていた、とした[32]。(→#お蔵入り効果)

研究者となっている人物、および進路としての超心理学

人物

超心理学研究にあえて足を踏み入れていった科学者たちは、別に奇人変人というわけでもなく、疑似科学者だったというわけでもない。例えば、ピーター・フィリップスは見識ある物理学者であったし、テイラーは現代物理学に関する多くの啓蒙書を著したことでよく知られており、ロンドンのキングス・カレッジに講座ももっている。ロバート・ジャン (Robert G. Jahn)[34]は、プリンストン大学の工学部で教授を務めている人物である[35]

これらの人物をはじめとする科学者らにとって、超常現象は、対象として扱い始めた時は、現代科学で用いられている実験方法によって解決可能な問題に見えていた[36]。そう見えたにもかかわらず、成果らしい成果を出すには至らなかった[36]とも言われているのである。


進路として

大部分の科学者は、超常現象に関する研究は、(研究者として)実りが無いと見なしている。ただし、すでに終身在職制度で自身の地位が守られている場合は、テーマに人気があろうがなかろうが、自由に研究課題が選べる[36]

しかし、将来の教授のポジションや終身在職権を狙っている学者が、超常現象の研究を行うことでそれを得るというようなことは非常に困難である[注 6][37]。明治大学の石川幹人は、超心理学の周辺の学問(心理学等々)の学位を取得しその分野の研究者の職を得た上で超心理学の研究を行うことをひとつの方法として勧めた。


超心理学者のリスト

参考文献


  1. ^ フロイト、ユングらは、心理学を語る上で欠かせない人物らであるが、現在ではこれらの研究を、現代的な意味では心理学と認めない心理学者も多い。
  2. ^ 英語式の発音では「パラサイコロジー」。
  3. ^ ロバート・モリスと3人の同僚は、関連分野におけるさまざまな方法や展開に関する論評をまとめた400ページの分厚い1冊の穏健な教科書を著した。Foundations of Parapsychology (London : Routledge and Kegan Paul, 1986)
  4. ^ 関連項目:対照実験
  5. ^ しかし、そもそも「ゲラーの立ち振る舞いはまったく監視されておらず、程度はともかく、ゲラーに課される試験の準備はゲラー本人の自由にゆだねられていた」という意見もある『「超科学」をきる』化学同人p.125
  6. ^ 大学で終身在職権を得るために必要なことは、どれだけしっかりした結果が出せたかということだからである。
  1. ^ 「超心理学とは、未だに物理的には説明がつかない、心と物、あるいは心同士の相互作用を科学的な方法で探究する研究分野です。」(日本超心理学会HPでの定義文。 2009年1月-2014年9月 確認)
  2. ^ 超心理学の定義は、「既知の自然の法則では説明できない現象を研究する学問」(出典:リン・ピクネット『超常現象の事典』青土社、1994年、ISBN 4-7917-5307-0 p.486)
  3. ^ a b c d e f g 羽仁礼 2001, p. 36.
  4. ^ 羽仁礼『超常現象大事典』
  5. ^ ピーター・バーク 2015, p. 242.
  6. ^ ピーター・バーク 2015, p. 242−243.
  7. ^ a b c d e f g h ピーター・バーク 2015, p. 243.
  8. ^ リン・ピクネット『超常現象の事典』
  9. ^ a b c d e f g h 羽仁礼 2001, p. 486.
  10. ^ a b c 羽仁礼 2001, p. 57.
  11. ^ 『きわどい科学』p.228
  12. ^ a b c 羽仁礼 2001, p. 487.
  13. ^ マイケル・フリードランダー『きわどい科学』白揚社 p.231
  14. ^ a b 羽仁礼 2001, p. 53.
  15. ^ 『超常現象の事典』p.488(元は1990年の原著の情報)
  16. ^ a b c d 『超常現象の事典』p.488
  17. ^ a b ピーター・バーク 2015, p. 244.
  18. ^ マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 226.
  19. ^ a b c d マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 227.
  20. ^ 「超心理学における7つの誤解」
  21. ^ a b c マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 232.
  22. ^ マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 236.
  23. ^ マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 237-238.
  24. ^ マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 238.
  25. ^ Nature 245 (1973)
  26. ^ マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 241.
  27. ^ マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 242.
  28. ^ 小久保秀之、笠原敏夫 2006「特異現象に関する1990年代の日本の研究」
  29. ^ 石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店
  30. ^ a b c d 石川幹人『超心理学 封印された超常現象の科学』紀伊国屋書店
  31. ^ 羽仁礼 『超常現象大事典』第2章。成甲書房、2001年。ISBN 978-4880861159
  32. ^ a b c 懐疑論者の事典』 下 p.61
  33. ^ 関連項目:科学における不正行為
  34. ^ 著書『実在の境界領域―物質界における意識の役割 』技術出版 1991年 ISBN 4-906255-07-8
  35. ^ マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 237.
  36. ^ a b c マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 239.
  37. ^ マイケル・W. フリードランダー 1997, p. 240.






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