診療放射線技師 教育

診療放射線技師

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 09:11 UTC 版)

教育

診療放射線技師の学歴に関しては、従来は短期大学もしくは専門学校の出身者が多く見受けられたが、近年では診療放射線技師の高学歴化が顕著となり、四年制大学、さらには大学院出身者が大幅に増加する傾向にある。博士号取得者も増えてきている。主な学位の種類は、博士(保健学)、博士(医学)、博士(工学)、博士(理学)などである。また、放射線技師系修士以上の学歴を有することで受験資格を得ることができる関連資格として医学物理士があり、近年受験者数が増加している。

診療放射線技師養成校も、従来は短期大学と専門学校が主流であったが、現在ではほとんどの短期大学および一部の専門学校が四年制大学に移行し、大学がそれ以外の養成校よりも入学定員数の多くを占めるようになったため、診療放射線技師の養成は大学教育が主流となった。

医療職を大きく分類する際(特に公立医療機関において)、国家公務員の給与表の区分に準じて[9]医療職(一)を医師、歯科医師、医療職(二)を薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師理学療法士作業療法士等、医療職(三)を看護師准看護師保健師助産師とする場合が多いが、医療職(一)の医師・歯科医師は従来より六年制大学教育となっているのに対し、他は薬剤師を除いて専門学校から四年制大学まで多岐にわたる。近年、薬剤師が六年制大学教育化され、医師、歯科医師と同等の学歴となったが、他職種も薬剤師と同様に四年制(将来的には六年制あるいは修士)と教育体制が拡大していく傾向にある。特に、診療放射線技師と臨床検査技師はその傾向が顕著である。

資格

文部科学大臣が指定した大学又は厚生労働大臣が指定した診療放射線技師養成所において、3年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習を終えたものが診療放射線技師国家試験の受験資格を得られる。他に、外国において同等の資格を有するもので、特定の条件を満たすものにも受験資格が与えられる。

診療放射線技師法にて、人体に害を及ぼす恐れのある診療放射線を照射できるのは、診療放射線技師および医師・歯科医師のみと規定されている。ただし歯科医師に関しては顎口腔領域の治療及びそれに資する場合を対象とするとされ、口腔癌の予後観察における肺転移可能性排除のための歯科医師による胸部撮影判断を認定した判例などがある。医行為として人体に放射線を照射するため、放射線の物理特性や医療機器の特性の理解、照射する放射線量の最適化、人体への作用・影響の熟知、患者心理の対応等に関する知識を十分に備えた上で行うのが原則である。

従って、前述の資格を有しない者による人体への放射線照射(例として、看護師や歯科衛生士によるレントゲン撮影)は違法行為である(業務独占資格)。 

国家試験

毎年1回、診療放射線技師国家試験が実施される。試験科目は以下の14科目、総問題数は200題、合否判定は正解率60%(120点)であると言われている。なお、近年、試験内容の改正が行われ、2004年3月実施の第56回の国家試験から以下に示す新しい科目構成となった。従来の試験に比べて、臨床・医学分野により重点を置くようになり、解剖学、画像の読影、基本的な疾患の病態や検査技術を問う設問が大幅に増加した。また、平成21年の診療放射線技師法施行規則改正により、同年9月1日より試験名称が「診療放射線技師試験」から「診療放射線技師国家試験」となった。

診療放射線技師 国家試験 科目
基礎医学大要(30問) 放射線生物学(10問) 放射線物理学(10問)
放射化学(8問) 医用工学(7問) 診療画像機器学(20問)
エックス線撮影技術学(20問) 診療画像検査学(20問) 画像工学(5問)
医用画像情報学(10問) 放射線計測学(10問) 核医学検査技術学(20問)
放射線治療技術学(20問) 放射線安全管理学(10問)

  1. ^ Helena Gleichen: pioneer radiographer, suffragist and forgotten hero of World War I THE CONVERSATION
  2. ^ a b 太田資嘉, 工藤勝也, 「瀬木診療所に於けるレントゲン技術員の集い」『医科器械学雑誌』 1954年 24巻 9号 p.24-25, 日本医療機器学会, doi:10.4286/ikakikaigakuzassi.24.9_24, NAID 110002532060
  3. ^ 学会の発展に貢献された方々 日本放射線技術学会
  4. ^ 医学の発展に寄与した日本初のX線技師養成学校 品性と技術に優れた技師を育てた高い志とは 島津製作所
  5. ^ a b 中澤靖夫 「診療放射線技師教育の在り方」 日本診療放射線技師会
  6. ^ 本学の歩み 京都医療科学大学
  7. ^ a b c 青木祐美・谷祐児・藤原健祐・小笠原 克彦 「診療放射線技師数の需要と供給の将来予測」 2018年, 日本放射線技師会
  8. ^ a b 診療放射線技師のことがわかる本 日本診療放射線技師会
  9. ^ 一般職の職員の給与に関する法律第6条、人事院規則9―2(俸給表の適用範囲)第12条から第14条
  10. ^ 原子力安全技術センター”. www.nustec.or.jp. 2021年12月14日閲覧。
  11. ^ 労働安全衛生法に基づく免許の交付要件 | 東京労働局
  12. ^ 第1種作業環境測定士(放射性物質)資格取得までの道のり - 日本アイソトープ協会
  13. ^ 臨床検査技師の紹介”. 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会. 2021年12月14日閲覧。






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