脊髄空洞症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 20:35 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動この記事は英語版の対応するページを翻訳することにより充実させることができます。(2021年6月) |
脊髄空洞症 | |
---|---|
脊髄空洞症のMRI | |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | G95.0, Q06.4 |
ICD-9-CM | 336.0 742.53 |
OMIM | 272480 186700 |
DiseasesDB | 12769 |
MedlinePlus | 001398 |
eMedicine | neuro/359 |
MeSH | D013595 |
脊髄中心部に存在する脊髄中心管[注 1]が拡大する水髄症 (hydromyelia) と、脊髄実質内に髄液が貯留する狭義の脊髄空洞症に分類される。しかし、これらを臨床的に区別することは困難であり、両者が混在することも多いため、2つの病態をまとめて脊髄空洞症と呼んでいる。また、空洞と第四脳室の交通性の有無により、交通性空洞と非交通性空洞にも分類される。
脊髄空洞症の原因は多岐にわたり、アーノルド・キアリ奇形に伴うものが有名であるが、くも膜炎、外傷、脊髄梗塞、出血、炎症性疾患に伴うものなどもある。
国が定める特定疾患(指定難病)である。
分類
キアリ奇形によるもの
キアリI型奇形の50-80%、II型奇形の19-22.5%に脊髄空洞症を合併すると報告されている。特に、I型奇形において進行性の脊髄症を呈する場合や空洞が徐々に増大している場合は外科的治療を検討する。
手術は一般的に、大後頭孔減圧術で行われる。そのほか、空洞内と脊髄周囲のくも膜下腔内の間にチューブを留置する「空洞-くも膜下腔シャント術」が行われる場合もある。
癒着性くも膜炎によるもの
脳脊髄液通過部位が、炎症などで閉塞することによる。
脊髄腫瘍によるもの
脊髄出血後のもの
症状
- 空洞により、脊髄が内部から圧迫されることで脊髄症状が出現する。したがって、脊髄内部の内側寄りに存在する灰白質の一側性障害から出現することが多い。空洞が存在する脊髄髄節において温痛覚が障害され、深部覚が温存される解離性感覚障害が認められる。また、脊髄空洞症は頸髄にできることが多いため、後頚部から上腕にかけての温痛覚が障害される「宙づり型温痛感覚低下」が認められる。
- 上肢の筋力低下と筋萎縮も認められる。
- 症状は片側から始まることが多いが、空洞が進行して拡大すると両側性となる。また、脊髄内部の外側寄りに存在する白質にまで圧迫がおよぶと、下肢の麻痺や知覚障害も出現する。
- 脊柱の側弯を合併することもある。脊髄空洞症の30-50%に側弯症が合併しているとの報告があり、特にキアリ奇形に合併した脊髄空洞症に多く見られる。
注釈
出典
- ^ “Results of the section of the filum terminale in 20 patients with syringomyelia, scoliosis and Chiari malformation (pdf)” (2005年2月24日). 2021年6月11日閲覧。
固有名詞の分類
- 脊髄空洞症のページへのリンク