縄張り 縄張りの型

縄張り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 00:20 UTC 版)

縄張りの型

縄張り行動は資源防衛行動と見なすことができ、その防衛する資源の種類によって食物資源を防衛する摂食のための縄張りと、繁殖資源を防衛する繁殖のための縄張りがある。

  • 摂食のための縄張り
有名なのはアユの縄張りであろう。アユは春に川をさかのぼり、中流に達すると、岩の上の珪藻類を削り取って食べる生活にはいる。このとき、川の中程に一定の縄張りを作り、縄張りに侵入する他のアユがあると、体当たりで追い出そうとする。これを利用して、生きたアユに針を仕掛けて放流し、縄張りに侵入させて、体当たりしてくる縄張り持ちのアユを引っかけるのが友釣りである。同様の縄張りは、海産のスズメダイの一種、巻き貝などにも見られる。
  • 繁殖のための縄張り
繁殖行動をするための場所、繁殖のためのなどを防衛する場合である。先のイトヨは繁殖行動の場が同時に繁殖のための巣を含んでいる例である。また、極楽鳥の仲間は、目立つ木の枝一つを防衛するが、これは雌を呼ぶ踊りを踊る場になる。繁殖行動をする場だけを守る例である。このようなものでは、繁殖期にのみ縄張りを作るものが多い。

テナガザルは、ジャングルに家族単位で大きな縄張りを作るが、これは摂食の場を含んで、広く生活の場そのものを防衛する例である。

室内実験での縄張り

メダカを水槽に入れると、水底付近に落ち着く。そこへ、もう1匹のメダカを入れると、両者はつつき合いののち、勝った方が底に位置を占め、負けた方はそこから離れた場所に落ち着く。互いに近寄ると、つつき合いになるので、それぞれ一定の範囲から出なくなる。つまり縄張りが成立したことになる。次々とメダカを入れてゆくと、強い方からそれぞれに縄張りを持ち、弱いものほど小さな縄張りを、より水面近くに持つ傾向がある。これは縄張り行動を見る実験として有名なものだが、メダカは本来群れて泳ぎ、縄張りを作ることはない。この実験は、むしろ、普通は住んでいない特別な条件下で起きた、その種の行動としては特殊な行動とみるべきであろう。同様の例は、海水魚を水槽に入れた場合、潮だまりに取り残された場合などにも見られる。

縄張りと順位

縄張りを作る場合、当然ながら場所によって条件の善し悪しがある。すると、ここで場所の取り合いが生まれることになる。その結果、最もよい場所をもっとも強い個体が取り、弱いものほど条件の悪い場所を取らざるを得なくなる。つまり、個体間の順位によって取り場所が決まってくる。先のメダカの例では、普通は強いものから底の方に大きい縄張りを作り、弱いものは水面近くに小さな縄張りを作る。

これは、特に繁殖期に集まって縄張りを取り合うような場合に起こりがちである。トノサマガエルでは、中央に強い雄が、周辺ほど弱い雄がいる形になる。メスは真っ直ぐに集団の中央に入ってゆくという。







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